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ミズノ 取締役 七條毅氏
(グローバルアパレルプロダクト本部担当)

生産拠点を東南アジアへ

update: 2013/08/12

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進むウエアの現地企画化

アパレル企画生産本部は2008年に先んじて組織変更を実施した。工賃や材料費が上がっている昨今、ミズノのアパレルは為替も含め比較的コストアップの影響を受けずに成果を挙げられているようだ。

「アパレル部隊では体制の整備はほぼ完了しています。海外調達の面で言えば、タイ・バンコクと中国・上海に大きな部隊があるが、そこのレベルアップを追求していくことでしょう。今年7月1日、韓国で現地法人を立ち上げました。以前の代理店が運営していた『ミズノ』のモノブランド店53店舗を引き継ぎ、まずは売り上げの30%増を目指そうと動き始めています。韓国に現地の企画チームを作ったし、14年春夏シーズンごろから現地企画の商材も増えてくるでしょう。韓国の店舗コンセプトを軸にして、現地のニーズに合った品揃えを目指します。中国向けの商材は『バイオギア』や『ブレスサーモ』の肌着以外はほとんどが中国向けの現地企画。米国ミズノも野球ウエア、バレーボールウエアすべて現地企画です」

おしなべて堅調に推移しているアパレルビジネスだが、懸案は中国市場だ。改善は進んでいるが、その開拓における難易度はかなり高いと分析する。

「中国の経済白書では、2012年の中国市場のウエアが20%減、シューズが30%減だと報告していました。当社の中国で展開している店舗数が449店(6月末で3店増)。直営店が230店、フランチャイズが204店、ゴルフ直営店が15店の内訳です。スポーツの直営店の分母が一番大きい。今後、中国のスポーツ市場は悪くなると思います。カジュアルウエアの代わりにスポーツウエアを買う需要がなくなってきたためです。『ミズノ』ブランドは復調傾向にあります。カジュアルではなくスポーツをする人に供給できるブランドとして提供するやり方が見えてきました。スポーツブランドでしかできない機能訴求や、販売員のスキルを高めていきたい」

「中国国内では、卓球やバドミントンなどいわゆるスポーツ専門店が増えています。専門店へ向けてスポーツ品を卸売りするケースも増えてきました。今まではショップ運営が事業の柱で、例えば百貨店のショップインショップはモノブランドショップが主体でした。今後は当社でも、卓球、陸上、サッカーのスパイクシューズを卸し始めます。今まで、カジュアルユースで売れているところは引き続き質を高めて売っていきます。年々、スポーツをする人が増えていくので、スポーツ専門店にもローカルブランドと違いの分かる売り方と商品できっちりスポーツ愛好者に届けていこうとしています。昨年からはフットウエアを主力に中国国内向けのE-コマースビジネスを始めている。昨年は210%、今年上期で400%。中国全体の売り上げの10%くらいでまだ小規模ですが着実に伸びています。中国市場は難易度が一番高いと思う。しかしそれでも、新しい中国の戦い方がちょっと準備でき始めた、というのが現状です」

そのほか、アパレルの課題は調達面。日本と中国を減らして東南アジアを増やしていくという。東南アジアをマーケットとして拡大したい思いと、欧米向け商材の関税が有利な点がある。

「再編成して整備したい。そのための準備も大分整ってきた。タイのバンコクオフィスに12人を配置した。東南アジアは生産比率が現在28%。それを約3年間で60%くらいに持っていきたい。中期的には主力になっていくでしょう。手の込んだ商品や短納期品は上海ミズノでカバーする。中国の生産比率は現状48%を3年後に27%くらいにしたい。ただし比率を減らすのであって、生産枚数を減らすわけではありません」