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2017年のスポーツ市場を俯瞰する
ますます加速する海外市場の開拓

update: 2017/01/04

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ライフスタイルに商機、製品で変わる戦略

昨年は、ナイキがゴルフ用品の開発を取りやめ、ウエアやシューズなどに集約する旨を発表したほか、アディダスは傘下のテーラーメイドゴルフを売りに出したニュースが話題になった。世界的にゴルフマーケットは低迷期にあるようだが、その一方で汎用性アイテム――いわゆるライフスタイル需要は伸びている。スニーカーブームは日本市場に限ったことではないし、“アスレジャー”というキーワードの下、レディス需要を取り込もうとする動きも外資・国内問わず、スポーツ関連メーカー全体に共通した傾向だ。

アスレチック(競技)市場の規模は限られている。対象がアスリート(競技者)であるためだが、彼らが着用する普段着にまでカテゴリーを広げれば、まだ市場を拡大する余地はある。その1つの手法が、“アスレジャー”だった。国内では、レディスなどで新業態も生まれているが、ファッションの域は出ていない。スポーツ側からの提案も本格化はしていない。その点では、アウトドアの方が汎用性ニーズを取り込んでいると言えるだろう。慢性化する暖冬などマイナス要因もあるが、国内のアウトドア市場で汎用ニーズを取り込んでいるブランドは健闘している。

ナイキやアディダスのゴルフ用具からの撤退は、展開商材がシューズとアパレルに集約されるという流れをより一層、助長しそうだ。投資や手間暇のかかる用具類は専業メーカーに任され、規模の理論で大きな市場を獲得するには、シューズとアパレルが重視される。当然スポーツメーカーなので、機能性の開発は続けられるだろうが、昨今の商材の買われ方を見ていると、スポーツ用途ではないケースが増えている。

市場は過剰供給の傾向が続いている。外資系ブランドを中心に、IT技術を活用した顧客の囲い込み政策も増加傾向だ。企業である以上、業容拡大は基本だが、闇雲な売上増は経営に悪影響を及ぼす。このブランドはどういった方向性で行くべきなのか、マスを狙うのかニッチを開拓するのかなど、メリハリが必要になってきている。