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素材メーカーに見る“アスレジャー”の動向(上)

update: 2017/12/14

タウンユースを意識した アスレジャー提案が増えている (写真は東洋紡STCの展開会)

タウンユースを意識した
アスレジャー提案が増えている
(写真は東洋紡STCの展開会)

機能素材メーカーの2019年春夏シーズン展示会における、“アスレジャー”市場に向けた提案の傾向をまとめてみる。年々、“タウンユース”を意識した商品提案は増えているのは確かだが、一定の市場シェアを確保するまでに至っていないのが、実情のようだ。素材の“機能性”をいかに分かりやすく、エンドユーザーに伝えるかが、各社の共通した課題のようだ。

シェアは小さいながら、需要は漸増傾向

各社共に、いわゆる“アスレジャー”市場を意識した提案や素材の開発は、ニーズの多寡に関わらず、昨今のトレンドである。“多寡に関わらず”と述べたのは、いわゆる“アスレジャー”市場のニーズが顕在化(マス化)していないからである。

各種のマスメディアでは、“アスレジャー”に関する報道がかまびすしい。しかしながら、実際の店頭──販売の現場では、各種媒体が喧伝するほど、“アスレジャー”のニーズが賑わっているわけではない。

ある大手の合繊メーカーの担当者は、「確かに“アスレジャー”ニーズは増えているが、従来のアスレチック(競技)向けに比べれば微々たるもの。受注をもらって、結果的に“アスレジャー”ニーズだったというケースが多い」という意見もある。アパレル系―一般アパレル企業からの受注量=ロットがまとまりにくいという背景も、大きく影響している

その半面、“アスレジャー”ニーズの増加に期待を掛けている素材メーカーも存在する。新たな販路を求めて、大手カジュアルSPAへ機能素材を提案している企業では、売上高が増加傾向だ。スポーツ分野で培った機能性を、カジュアルシーンでも生かそうという新しい取り組みである。

スポーツ市場とカジュアル市場のニーズが“重複”してきていることは確かである。しかし、エンドユーザーの“明確な”ニーズがどこにあるのかは、まだ追求の余地がありそうだ。現状ではスポーツの延長線上──ヨガを切り口にしたリラクシングウエアが、まとまったトレンドと言えるだろう。(続く)