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2017年のスポーツ市場を俯瞰する
ますます加速する海外市場の開拓

update: 2017/01/04

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2017年の年が明けた。昨年来、国内スポーツ関連メーカーの間では、2020年に開催予定の東京オリンピックに対する期待感が高まっている。今年は国際的に大きなスポーツイベントは予定されていないが、この上げ潮ムードは今後も続くことが予想される。年頭に当たり、今シーズンのスポーツ市場の推移を予測した。

重要度が増す“ブランディング”

国内スポーツ市場は成熟していると指摘されて久しいが、今年はますます海外市場の開拓に拍車が掛かるだろう。為替の影響は無視できないが、基本的に国内スポーツメーカーで順調に業容を拡大し、また収益を確保しているのは、海外市場の開拓が進んでいるアシックスやデサントなどである。反対に、国内事業に軸足を置くメーカーは総じて伸び悩んでいる。例外は、基幹ブランドの「ザ・ノース・フェイス」が好調なゴールドウインくらいだろう。

世界トップのスポーツメーカー、ナイキ社をはじめ、2位のアディダスも世界規模でまんべんなく市場開拓を進めている。その結果、連結売上高はナイキで約3兆円、アディダスで約2兆円という規模に拡大している。3位グループのアンダーアーマーやプーマ、アシックスも然り、である。いち早く欧米市場の開拓に着手したアシックスや、アジア市場のシェアを順調に拡大しているデサントなどの業容拡大は決して不思議なことではない。

売上規模の拡大を目指すのであれば、日本のスポーツメーカーも世界に打って出る必要がある。そうなると重要になってくるのが、ブランディングだ。アシックスは2012年シーズンから、広告のビジュアルを世界統一のイメージにした。デサントは「デサント」や「ルコックスポルティフ」ブランドなどで、日本とアジアに共通したビジュアルを使い始めている。“シンク・グローバル、アクト・ローカル”(世界規模で考え、地域で行動する、といった意味)という言葉があるが、これはブランドの世界観発信は世界共通で行い、具体的な商品企画や営業政策は各地域特性に合わせるという考え方だ。スポーツマーケットにおいてもますます、こうしたブランディングの重要度が高まってくると予想できる。