国内ベースボール市場 2013年シーズン(下)
ブランド観、独自の機能性で差別化狙う
update: 2013/09/19
国内ベースボール市場は「ミズノ」のシェア1位の座は揺るがないが、2位以下のグループの競争が一層、激しくなっている。「圧倒的な2位の座を確保する」という目標の下、ピークだった1991年の売り上げ117億円へ戻るべく、今まで以上に資源を投下している。「ミズノ」は全方位を攻める王道を行くが、規模で勝てない2位グループは市場や店頭で目立つ独自性を発揮する必要がある。
アシックス、商品不足するも好感得る
アシックスは「スピードベースボール」と題し、グラブ、バット、スパイクシューズの各用具で速さを追求できる機能性をアピールした。同時に積極的なプロモーションにも力を入れた。その効果が表れたのか、シーズン当初から店頭における反応は上々だった。3月ごろから動き始めたが、予測以上に商品が売れ、機会ロスが発生した。現在は生産のフォロー体制が整い、供給は落ち着いているという。
2008年ごろから社内にプロジェクトを立ち上げ、新しい野球像・新しい機能訴求を研究・追求してきた。高校生や中学生のシリアスプレーヤー層へ向けた「アシックス」ベースボール。好調の要因はこうした競技志向のプレーヤーから支持されたと分析する。また、ジュニアモデルも軟式を中心に用具が当たり、複合バットは計画の1.5倍の売り上げだった。新しい機能性を提案したその切り口は、シリアスプレーヤーから一定の評価を得たようだ。展示会の折、小売店の反応も違和感はなく、むしろ期待感の方が大きかったという。
13年シーズンの展開店舗数は一般店がおよそ1,000店、ナショナルスポーツチェーンが500店前後。先日、2014年春夏シーズンの展示会を開催したが、フットウエアが前年の200%、グッズが同150%弱と非常に手応えがあったという。13年春夏の実績が関心を呼んだのだろう、今年は展示会に出向く小売店の出足が良かったそうだ。
課題はアパレルだ。売り上げはほぼ計画通りで、チーム受注が多かったが、苦戦したアイテムもあった。「アンダーアーマー」が力を入れているパーソナルユースのアパレル類、ユニフォームでは昇華プリントモデルなどが強化対象になる。社内ではアパレル全般の生産をグローバルアパレル部隊へ移管した。またユニフォーム専業メーカー、レワードと業務提携し、チームアパレルの生産を委託している。いずれも効率化を図るための措置である。