ゴルフウエアの新規ブランドが増加、コロナ禍でも活況の市場(下)
参入障壁の低さも後押しに
update: 2022/06/24
2003年以降のブームにより、商品企画や販路、顧客の価値観などが十分に“こなれて”いったゴルフウエア市場。以前に比べるとコモディティー化した分、競合も増えたが参入障壁も低くなった。資金力のあるSPA(製造小売り)業態が新たに参入するケースもよく目にするようになっている。
資金力のあるSPAが新たに立ち上げるケースも
ゴルフウエア市場に新規参入ブランドが増えている背景には、コロナ禍の中で活況を呈している市場である事、参入障壁が低くなっている事などが挙げられる。それよりもゴルフ用品市場の方が規模も大きいのであるが、ノウハウがゼロのアパレル企業がおいそれと参入できる業界ではない。消去法でゴルフウエア市場に照準を合わせたとも考えられる。
カジュアル系SPAでゴルフウエアを企画、販売している著名な例としてはファーストリテイリングの「ユニクロ」がある。世界市場を意識する同社は、ロットがまとまるスポーツウエア市場の開拓にも力を入れてきた。プロテニスプレーヤーの錦織圭選手やプロゴルファーのアダム・スコット選手など一流選手に同ブランドのウエアを着てもらい、知名度と露出度を高めてきた。素材開発は素材メーカーの東レと組んで、機能性の向上を図っている。
今年5月からは、「しまむら」もゴルフウエア市場に新規参入した。Youtubeチャンネル「UUUM GOLF」、HK DESIGN STUDIOと協業した「HK WORKS LONDON Green」の2ブランドを6月1日から市場投入した。上代はポロシャツが1,419年、パンツが1,969円と破格値。プレーよりも汎用性を謳っている。
ユナイテッドアローズは2021年冬からゴルフの新ブランド「UNITED ARROWS GOLF」を立ち上げた。同社はかねて、ミズノとゴルフウエアを協業していたことがある。また、スポーツウエアブランド「SOUNDS GOOD」も展開していた(既に終了)。前からスポーツウエアへの関心が高いアパレル企業だ。トレンドと機能性の両立を謳い、上代はポロシャツで1万7,600円と百貨店並みの価格である。
再登板組もある。三陽商会が今秋から「ポール・スチュアート・ゴルフ」を再展開する。2013年に「ポール・スチュアート スポーツ」の名前で、「バーバリーゴルフ」の後継ブランドとして立ち上げた経緯がある。ほかにも「ワークマン」など多くの新規ブランドが立ち上がっている。
新規ブランドが林立し、市場が活況を呈する事は良い傾向だ。焦点は、新顔がどこまで継続し生き残っていけるかという事。前回のブームでも去って行ったブランドは少なくない。今回のブームでゴルフウエアは次のステージへと進化していけるのだろうか。今後の推移が興味深い。(終り)