ランニングシューズマーケット
いわゆる“厚底”と呼ばれるモデルの現在地
update: 2020/03/13
昨年来、アウトソールの見た目が分厚い体裁のランニングシューズがマラソン大会などで好成績を上げ、マスメディアや競技関係者から注目を集めている。ソール内に配置したプレートが反発力を高め、効率良く走れる機能を持っている点が特徴だ。国内外の主要各社が似た構造のランニングシューズを新たに発売または発売を予定している。
素材の軽量化、新形状、プレートの開発が後押し
見た目の形状からいわゆる“厚底”シューズと呼ばれることが多い注目の新モデルだが、正確には、「プレート内蔵型ランニングシューズ」と呼ぶ方が実態に近いと思われる。今回取り上げるスポーツメーカーはナイキ、アディダス、アシックス、ミズノの4社。いずれもアウトソールにプレートを内蔵したランニングシューズを企画している。
年明けの箱根駅伝で耳目を集めたナイキのランニングシューズ。同社は3月から、新モデルの「AIR ZOOM ALPHAFLY NEXT%」(エア ズーム アルファフライ ネクスト%)を販売し始めた。クッション性に富むミッドソールと、内蔵されたカーボンプレートが特徴だ。国際競技連盟(WA)が定めた規則には合致しており、東京オリンピックで使用することができる。
アディダスは、同社で初めてカーボンプレートを搭載したランニングシューズ「adizero Pro」(アディゼロ プロ)を4月から販売する。シリアスランナーを想定した最上位モデルに位置付ける。カーボンプレート「CARBITEX カーボンプレート」は、着地時に柔軟性を、蹴り出し時にはエネルギーを与える機能を持ち、少ない力を推進力に効率良く変換することができるという。同社が公表したニュースリリースでは、「カーボンプレート搭載の最上位モデル」と書かれてあり、厚底の表記はない。
アシックスは4月中旬から、アウトソールにカーボンプレートを内蔵した新モデル「METARACER」(メタレーサー)を発売する。マラソンや駅伝など、レースシーンにおける高速走行を念頭に置いたシリアスモデルだ。靴底のつま先が上方に沿った個性的な形状で、荷重がかかると重心を効率的に前方へ移動させる機能を持つ。素材も見直し、より軽量化を進めた。
ミズノは昨夏、短距離スパイクにヒントを得たランニングシューズ「WAVE DUEL GTZ」を発売した。ソール部分に新しい樹脂製ソール「ウエーブプレート」を搭載し、反発性と効率良く力を伝える機能を重視した。併せて、アッパー内部の構造を替え、ホールド性を改善した。同社は従来、「ミズノウエーブ」というプレートをソールに内蔵したモデルを良き定番として展開しているが、走行時の“安定性”に着目した機能訴求だった。まだ確定していないが、新しいモデルの発売を夏ごろに予定している。