ゼットクリエイト 和田耕一代表取締役社長
「インパクトのある商品を作る」
「物を売る力」も必要
update: 2012/10/09
何を売るか、強みを明確にする
13年春夏展示会は盛況だったが、各アイテムで何に力を入れるのかという戦略も考え直すべきだと指摘する。
「チャレンジャーとして何を極めるのか。カテゴリー別(グラブやバット、シューズなどアイテム別)の戦略も考えないといけない。端的に言えば、『良く飛ぶ、捕球しやすい、早く走れる』といった機能性+価格なのでしょう。『ゼット』の野球用品はこれだ、というものを現在、検証しているところです」
品質の安定化、画一化といったメーカーに必要不可欠な要素の強化も進めている。
卸部隊との連携も需要に
「ゼット」の野球用品は、ゼットの卸部隊を介して小売店に販売する。そのため、拡販にはゼットクリエイトと卸部隊の連携が欠かせなくなる。
「元々、卸が出身の企業ゆえかも知れませんが、物を売り込むことが苦手な面があるように感じます。売ることに対する考え方が保守的です。クリエイトのスタッフも卸部隊も、今まで以上に積極的に売り込んでいかないといけないと思います」
責任の所在を明確にし、意思決定のスピードを上げる目的で、4月1日から「執行役員」制度を導入した。営業、MD・物流、総務の各部署で計5人の執行役員を任命した。現場で判断できることは執行役員が即決し、業務のスピードアップを図る。
「現場の責任を取る人物を決めることです。責任と同時に現場の権限も明確にする。逐一、指示を仰いでいては時間がかかってしまいます。しかし、意識改革は一朝一夕で進むものではない。13年春夏展示会のような成功体験を通じ、『きちんとやれば売れる』とスタッフに思わせることでしょう」
「コンバース」はトップブランド戦略、「ゼット」は野球の再開拓
一方、トップシェアになった「コンバース」は「ゼット」ブランドと異なる戦略を採る。2番手以下のブランドを牽制していくマーケティングに替えていく。
「『コンバース』ブランドではグレードの高い商品と、競合ブランドを意識した商品とを企画・販売していきます。トップシェアを維持する戦略です。メディアの露出も増やしました」
「『ゼット』ブランドでまずやるべきことは、ベースボール市場の再開拓です。再度、シェアを拡大するべきだし、伸ばせる余地もあると思います。それが達成できたら次の展開を考えます」
今期(2013年3月期)のゼットクリエイトの通期見通しは微増収増益。経費の使い方を見直したほか、在庫の適正化も進めた。またヒット商品を作り、物を売る力を付けようとしている。
「売り上げの底は打った」と見る。後は上昇するだけである。数年来、メーカー機能の強化がゼットの課題の1つだった。今後、新しい価値観と方針でどこまでメーカー機能を強化することができるだろうか。
略歴 和田耕一(わだ・こういち)氏 1950年生まれ。75年4月、伊藤忠商事に入社。2007年4月、同社ファッションアパレル部門長(役員就任)。11年7月、ゼットクリエイト、顧問。11年10月、当社取締役社長代行。4月1日から現職。