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アシックス 加藤克巳・取締役執行役員
グローバルセールス・マーケティング統括部長
真のグローバル化は人材交流から

update: 2012/07/02

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課題は部門間のシナジー発揮と新興市場

今後の課題は各部門間の連携とシナジー効果の発揮だ。強化する地域は新興市場が中心になる。

「優先すべきところは、部門としてはそれぞれのシナジー発揮で、マーケティングミックス(複数のマーケティング要素の組み合わせ)を進めます。部門間のシナジーの極大化です。地域的には一番成長しているのが新興国。欧州ではロシア、南米ではブラジル、アフリカや中東も視野に入ってくるでしょう。一番遅れているのが中国や東南アジア。アジア・パシフィックは規模が小さいので、我々の部隊と一緒に開拓していきます」

「やはり中国は現地人でないとダメ。香港人を採用して、ここからブレークスルーするためには、リテールマーケティングやデジタルマーケティングも必要ですし。ただし、まだリソース(資源)が弱いので、当面は日本から乗り込んで取り組むことになるでしょう」

一連のグローバル化への組織改編で、海外だけではなく国内営業へも相乗効果があったようだ。2012年3月期で国内売り上げが上向いたが、営業体制の整備が効果をもたらした。

「日本は間違いなく、マーケティング部門が日本向けに改編されたので、国内マーケットへ積極的に入っていけた。より日本のお客さんに近づいて活動するようになったので、成果は出ていると思います。市場に対するフィット感が出ているように思います」

視線の先には、グローバル企業のナイキやアディダスの姿がある。真のグローバル企業になるべく、組織が変わり始めている。

「1つの部門で英語を共通言語にすると、ほかの部門でもやらざるを得なくなってくる。ヨーロッパの僕の後任は英国人。グローバル化を始めて2年目に入るが、あるべき姿にちょっとずつ近づいています。マルチナショナル企業から本当の意味でのグローバル企業になるために手っ取り早いのは人材交流。人事制度をグローバル化しないと組織は変わりません。ひょっとしたら、2年後の取材相手は日本人じゃなくなっているかもしれませんよ」

略歴
加藤克巳(かとう・かつみ)氏1958年生まれ。81年4月、アシックス入社。2001年4月、レジャースポーツ営業本部マーケティング部長。08年4月、アシックスヨーロッパB.V.代表取締役社長。10年4月、執行役員・グローバル事業室長。11年4月、グローバルセールス・マーケティング統括室長兼アシックスジャパン営業本部リテール統括室長。12年4月から現職。