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『マーケット分析』―― アウトドア市場の成長の鍵握る?
「山ガール」の実像

update: 2011/01/31

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「マーモット」。山ガールをイメージしたスタイリング

「マーモット」。山ガールをイメージしたスタイリング

けん引役は誰か?

前述のアウトドアメーカーいわく、昨今のアウトドア市場をけん引しているのは実は「30 40代のメンズ顧客。しかも1人で山に登るユーザー」だという。好調を持続している「TNF」は昨年春からレディス専用品番を積極的に拡大しているが、売り上げの3分の2はメンズ。冷静に考えれば、市場の60 70%は男性客が支えていることになる。「山ガール」を否定するつもりはないが、それは規模の小さいレディス客が作り上げた小さな市場――しかもトレンド色が強い――であることは認識しておくべきだと思う。今回のブームで新たに顧客として定着する女性もいらっしゃるだろうが、少数派だと思う。

しかし、“仕掛け”という意味では山ガールは効果的だ。百貨店売り場、阪急百貨店イングス館などでは、山ガールスタイルが30代付近と50代以上の既存顧客と双方から支持を集めていると聞く。アウトドアに興味を持たなかったエンドユーザーに関心を持たせるという意味では大変、効果的だと思う。

もっとも、アウトドア市場を下支えしているのは、景気の動向に影響されず、トレンドにも影響されない長年のリピーターである。本当にアウトドア市場を開拓しようと考えているのであれば、こうした手堅い客層に働きかけるのが一番である。ただし目が肥えているツワモノばかりなので、簡単に入り込めるわけではないが。