カジュアル化するアウトドア市場
update: 2015/09/07
いわゆる“山ガール”をきっかけに、アウトドアがファッションの一面を持って流行し始めたのが5-6年前。山で穿くスカート=山スカやショートパンツなど、従来のアウトドア・シーンでは考えられなかった商材が次々に登場した。新規参入が増えて市場在庫が過剰傾向で、現在では供給過多になっている“きらい”はあるが、堅調な傾向は今も続いている。タウンユース=街着需要も当たり前になり、カジュアルとの境界がなくなりつつある。
トータル化進めるブランドが好調を持続
2010年代以前にも、アウトドアブームはあったが、カジュアルウエアとして着られるようになった段階で、その人気は終焉を迎えた。機能性に裏打ちされたアウトドアウエアの本分を外れ、デザイン性に立脚したタウンウエアになってしまったことが原因と考えられる。今回のアウトドアブームでも、いつ終焉するのか、毎シーズン、気に掛けている関連企業もある。
実際、ここ数シーズンは苦戦傾向のブランドが散見される。中でも、高機能性を誇るシリアスユーザー向けのブランドが少なくない。昨今のスポーツ業界全体に見られる傾向だが、ニーズがあると分かった瞬間から、短期間で商品供給が行われることが当たり前になった。企業活動として正しい行動であるがその結果、市場在庫が過剰になり無理なマークダウンが頻発し、各社ともに利益を確保しにくくなっていることは事実である。
こうした難しいアウトドア市場において、健闘しているブランドとして衆目の一致するところがある。いわく、「ザ・ノース・フェイス」「コロンビアスポーツウェア」「モンベル」である。この3ブランドに共通した点は、商品をトータル展開していること、またSPA(製造小売り)業態を推進していることが挙げられる。シリアス向けのコアなアイテムはもちろんしっかり押さえているが、その周辺のタウンユースなど汎用性のある商材を揃えていることも共通している。