アシックス、グローバルブランドマーケティング統括部長
ポール・マイルズ 氏
update: 2016/01/25
「ブランドのコンシステンシーをまとめる役割」
アシックスは今年2月に開示予定の2015年12月期連結決算で、売上高が4,000億円を超えることが確実だ。中期5カ年計画が終了し、今年から始まる新しい中計の策定も控えている。売り上げの拡大に国外市場の成長は不可欠。それには統一感のあるマーケティング戦略が重要になってくる。昨年5月、グローバルブランドマーケティング統括部長に就任したポール・マイルズ氏に、今後の取り組みについて聞いた。
効果的に世界観をファンに伝える
2011年11月、アシックスが協賛している「神戸マラソン」の第1回大会のエキスポ会場において、初めて世界共通の広告ビジュアルを披露した。本格的に統一したブランドイメージを発信していく最初の試みだった。以後、毎年新しいビジュアルを使用し続けている。外資系スポーツメーカーが世界どこでも同じブランドイメージになるよう共通した発信に気を使っているが、アシックスもこうした取り組みを継続強化している。
こうした素地があった上で、さらにその体制を強化するべく、グローバルブランドマーケティング統括部において、商品と販売が連動した取り組みを構築し始めた。その役割は、「ブランドのコンシステンシー(一貫性、普遍性)をまとめること」だとマイルズ部長は説明する。
「限られた経営資源の中で、効果的にブランドの世界観をエンドユーザーに伝える必要があります。昨秋、『メタラン』というシューズをローンチ(市場投入)しましたが、世界で統一したブランドメッセージとビジュアル、投入時期も同じという初めての試みでした。すでに進んでいるほかの商品企画もありますが、今年から来年にかけて、ニュースリリースや店頭ビジュアルなど、同じイメージで理解してもらえるように体制を整えていきたいと思います」
かねて、尾山基社長が語る“シンク・グローバル、アクト・ローカル”(グローバルで考え、地域ごとに行動する)という考え方がベースにあるという。各地域特性に適し取り組みは重要だが、ブランドに対する共通認識・イメージの浸透も重視している。「2020年のオリンピック開催時に来日した人達が、『アシックス』ブランドに対して共通した認識を持っている状態が望ましい」と、中期的な目標・成果も掲げている。