アシックス、グローバルブランドマーケティング統括部長
ポール・マイルズ 氏
update: 2016/01/25
「マーケティングは経費ではなく投資」
今年の1月1日付で、グローバルブランドマーケティング統括部の体制を替え、動きやすくなるよう交通整理を実施した。ポイントは4つ。①活用するデータを1つに集約、②マルチチャネル=顧客のタッチポイント(店頭やSNSなど商品・ブランドとの接点)を管理、③カテゴリーマーケティング。どういった商品をどの市場で誰に売るかを考える、④ブランドのマネジメント。会社のKPI(重要業績評価指標)に沿って、きちんと収益を出していく――といった役割の部署を整備した。
「社内の共通言語を作り、意思疎通のしやすさ、スピード感を高められる体制を整えました。そうすることで、例えば米国市場でそのユーザーに何を売り、どれだけの収益を目指すのかなど、リージョンとの話し合いもスムーズになります。データを基に説明もしやすくなりますし、途中で何かあってもすぐに修正することができる」
目指す収益を実現するための指標になるKPIだが、経営方針に沿って計画通りに収益を確保していける体制を構築する目的がある。そのため、「マーケティングは経費ではなく(収益を確保するための)投資」だと考えている。社内の主要な部署との意思疎通にも力を入れている。
「普段、最も連携している部門は商品企画とセールスの部隊です。サンプル・ミーティングでは、企画担当者と共同でマーケティングの効用をプレゼンするようにしている。どういう方向性で販売するのか、共通認識を持ってもらうためです」
差別化できる商品と販路開拓、販促広告が大きな柱であることに変わりはないが、それらを効率良く活用し、収益を高めていくための援護射撃になる存在が、グローバルブランドマーケティング統括部と言えそうだ。
略歴 ポール・マイルズ氏 1973年横浜生まれ。外資系コンサルティング会社、外資系投資銀行を経て2004年、マイクロソフト・ジャパン経営企画室長兼社長室長。2006年、株式会社ユニクロ海外事業部 新規事業設立に携わり、UNIQLO FRANCE立ち上げと共に現地法人Managing Director。2010年、日産自動車株式会社で本社グローバルコミュニケーション部部長、アジア地域マーケティング・コミュニケーション担当Vice President。2015年5月から現職。42歳。