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ミズノ 取締役研究開発本部長 樋口良司氏
“快適にプレーできる”機能性を追求

update: 2012/07/30

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開発力は現場力

軟式バットの価値観を変えた「ビヨンドマックス」

軟式バットの価値観を変えた「ビヨンドマックス」

ミズノの強み、技術開発力はどういった環境で生まれてくるのだろうか。

「月に1回、水野明人社長主催で各種目の担当者が出席する開発会議が開かれています。組織を横につなぐ情報を共有する場になります」

「しかし、革新的な技術は、話し合いの中ではなかなか生まれてこないのではないか、とも感じます。新しいことを試みることのできる――試作まではできる環境が必要なのではないでしょうか。私が若い時から、『これをやらせてくれ』と言っても、高価すぎるものは別として、上司からあまり『やめとけ』と言われたことはありません。良い意味の(チャレンジを許してくれる)社風ではないでしょうか。今後も、アイデアが出てくるような風土にしないといけない。そのためにはどういう人材を採用してどういう教育をしていくかが重要。特に最近は同じ考えの人が多いので、個性的な人材も必要でしょう」

開発のヒントや原動力は、現場が起点になると考えている。

「今の若い人がかわいそうだと思うのは、製造現場が海外に移ってなかなか見られないこと。そのためにどうすればいいのか、生産現場の責任者として考えておかなければならない」

「最近は、新入社員が入ってきたら必ずミズノテクニクスで1泊2日の実習をやる。アイアンのヘッドを削ったり試験したりという内容で、女性社員にもやってもらっている。少しでも、“ものづくり”とはどういうものかを体感してもらうのが目的です。入社してきたときに感じてほしい。特に新入社員はよく、バット職人の久保田五十一や当社のクラフトマンが素晴らしいと報告書には書いてくるので、なおさらでしょう。ミズノテクニクスの財産として続けていかないといけないと思う」

ミズノテクニクス(旧養老工場)の従業員は1993年4月10日には700人だったが、2012年4月10日現在では209人と減っている。減少の背景には、自然減と計2回実施した希望退職の募集がある。

「ミズノテクニクスの人員が減り、誰々がいたらと思うこともあるが…。苦しい時でも若干名、採用しておくべきだったと今では思います。37-38歳が一番年下ということもありました。部下ができると上に立つ者も早く成長する。ものづくりの現場には下に新人を採用して、次世代へつなげていかないといけない。開発者はすぐに育ちませんから」