2023年シーズンのスポーツ市場を展望する
update: 2023/01/04
2022年はスポーツ関連企業の業績が回復した1年だった。2020年から続いたコロナ禍の影響が一段落し、経費削減やDTC(Direct to consumer)など環境変化に対応した施策を打った効果もあり、連結決算の移行後としては最高の収益を確保した企業も多数、見受けられた。国外へ目を転じれば、欧米市場が復調した一方で、上海を中心としたロックダウンの影響で中華圏の収益が低迷するという共通した傾向が見られた。慢性的なコスト増も続く中、2023年はどのような年になるのか、展望した。
今年も続くDTCの強化
昨年の2022年シーズンの展望でも触れたが、今年もDTC(Direct to consumer、ディレクト・トゥ・コンシューマー)の取り組みが増えることが予想される。数年前から注目はされていたが、2020年辺りからより顕著になってきた。コロナ禍の発生が拍車を掛けたとみられる。リアル店舗が閉鎖され、店頭売上が一瞬でゼロになった多くの企業は、その解決策をオンライン、Eコマースに求めた。緊急性の高い施策で、短期間に収益を回復するべく各社が熱心に取り組んだことは想像に難くない。
DTCは、企業が直接エンドユーザーとつながって自社の製品を販売、提供する事を指す。主にECを意味する事が多いが、直営店や催事など顧客と直接触れ合う場所、タッチポイントも該当する。卸、代理店を飛び越えて直販する行為で、“中抜き”と称されてきた販路形態と構造は同じだ。
IT関連の技術革新が進み、企業単独でも容易にDTCのシステム構築が可能になってきた。直営店運営と同様、顧客管理や接客などソフト面のノウハウは必須だが、敷居が低くなり挑戦しやすくなったことは確かだろう。物販に加えて、自社製品の情報発信やイベント情報、SNSソフトを活用したコミュニティー(ファンクラブ)の形成などもDTCの一環として注力されるケースも増えてきた。徐々に形を変えながら、今年もDTCの強化、拡充が続くと思われる。