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『注目パーソン・インタビュー』
ワコール、執行役員ウエルネス事業部 松井恒夫事業部長

update: 2011/09/05

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ランニングも重要な分野に

今秋から来春にかけて、関西地区は市民マラソンが目白押しだ。10月30日に「大阪マラソン」、11月20日に「神戸マラソン」、年が明けた3月11日には「京都マラソン」がそれぞれ計画されている。ワコールは「京都マラソン」のメーンスポンサーを務める。

「当面の強化ポイントとして、ランニングは当然メーンになります。特に京都マラソンについてはメーンスポンサーに名を連ねている。10月に『日本を走ろう』というキャンペーンをスタートします。8月22日から出場者の募集が始まりましたが、2日半で定員に達しました。もう少しかかるかなと思ったのですが、関心が高いと思いました。今後、特に西日本では店頭で重点的にマラソンを軸にして発信します。東京マラソンと京都マラソンのエキスポにはブースを出す予定です」

マラソンブームを後押ししているのは女性だという。これは山ガールに代表されるアウトドア(トレッキング)市場でも共通しているという。

「キーワードは女性です。東京マラソン以降、それまで競技者のものだったランニングが一般の人にも走れるものになりました。それが当社の商品の売り上げを大きく伸ばしたきっかけだったと思います。富士山登山でも女性のほとんどがタイツを身に付けており、その大半が『CW-X』でした。20代女性も増えましたが、40-50代の方にも浸透してきていると思います。また、ランニングはライフスタイルになったと思います。しばらく長いレンジで関心は続くのではないでしょうか。ランナーの数はそう減らないと思います」

「CW-X」の既存客は30-40代の若い男女が中心。ここへ加えて20代後半の女性や40代も参入し始めている。

「顧客の裾野を広げると言いましたが、イメージは年齢層が後ろへずれる感じです。50-60代の人を想定しています。年配の方には、履いているだけで楽に過ごしていただけるし、より機能性を体感していただけると思います」

昨年春に、6300円(税込み)という「CW-X」としては廉価な「スタイルフリー」を発売した。エントリー層向けのアイテムだが、売上額は少ないが販売枚数比率では17-18%とシェアが高い。高機能過ぎず、履きやすく仕上げてある点が特長だ。発売から1年余で急速に売れたことになる。新しい顧客を開拓するための地ならしも進んでいる。

「機能のないものを作るつもりはありません。ファッションをするつもりはありませんが、特定の機能性を取り出したもの、例えば膝だけのアイテムだとか、そういった開発はあると思います」

課題はアウター

松井恒夫ウエルネス事業部長

松井恒夫ウエルネス事業部長

タイツに代表される競技向けアイテムのギア、スポーツブラなどのアンダーは好調だが、インナーの上に着るアウターが苦戦している。

「ギアとアンダーは伸びましたが、期待通りでなかったのがアウターグループ。展開を広げたが数字が取れませんでした。ギアでは、タイツに加え『柔流』で上下販売することができるようになりました。できればアウターでもシェアを広げていきたいと思います」

松井恒夫(まつい・つねお)氏 1959年生まれ。83年ワコール入社。97年、国際事業部。02年4月、ベトナムワコール社長として出向。05年4月、ウイングブランド事業本部技術・生産本部ウイング生産部長。09年4月、ウエルネス事業部長。10年4月、執行役員。