ゴールドウイン 大江伸治 社長補佐 取締役 副社長 執行役員
精度高まった店舗運営、収益に貢献
update: 2015/06/29
2015年3月期決算では、海外市場の開拓が進んだスポーツ企業が好調だった。その半面、国内市場を主体にするスポーツ企業は苦戦を強いられた。海外ビジネスが好調でも、国内では苦戦するケースが目立っている。こうした状況の中、国内が主力のゴールドウインは増収増益を達成した。安定している韓国ビジネスの貢献もあるが、収益の柱になっているのは国内事業である。消費増税もあり難しい局面が続く国内において、着実に収益を高めている。好調の要因は何か、大江伸治副社長に話を聞いた。
ブランド発信の拠点になっているショップ
かねてゴールドウインでは、アウトドアを中心にリテイル事業に力を入れてきた。その主力が「ザ・ノース・フェイス」ブランドだが、商品政策と販売体制がうまくかみ合って、15年3月期もけん引役になった。
「アウトドアの『ザ・ノース・フェイス』(TNF)では、(グループ会社の)ナナミカとの協業が非常にうまく行っています。ナナミカ自身、TNFとのコラボレーションをレバレッジ(てこ)にして成長してきましたし、一方、同社企画の『パープルレーベル』がTNFのラインアップに組み込まれることによりTNFのブランドイメージの幅出しにも繋がっています。ポイントは、スポーツの“コア”からファッション・ライフスタイルユースなど“モア”戦略への拡張がうまく行っているということでしょう」
「それから、直営店舗を通じたブランド表現も非常に大きいと思います。言い方を替えれば、店舗がブランドのエッセンシャル(本質的)な表現ツールになっている。消費者がTNFを思い浮かべる時、『商品』プラス『店舗』が対象になる。そのイメージの刷り込みは大きいと思います」
アスレチック関連ブランドでは、卸型ビジネスが主流だが、アウトドア関連では直営店ビジネスも重要な収益源に育ってきた。同時に「サタディ・イン・ザ・パーク」や「グローブウォーカー」など、新業態ショップの開発も着々と進めている。
「店舗がブランド表現の重要なツールであるという自覚に基づき、ブランドイメージを拡張し、あるいは刷新する手段として、新しいショップ形態を常に開発、出店しているわけです。必然的に(ショップの中身を)標準化するのではなく、各ショップに個別の個性やキャラクターを付与することになります。生みの苦しみはありますが、これを愚直に続けています。他社にはなかなか真似できないところだと思いますし、当社の強みでしょう」