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デサント 常務取締役 マーケティング管掌 兼 ロジスティクス統括部長
田中嘉一 氏
国内強化がグローバル化につながる

update: 2013/08/29

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デサント、田中嘉一常務

デサント、田中嘉一常務

デサントのマーケティング全体を統括する田中嘉一常務取締役。今期から新設された「ロジスティクス統括部」の責任者も兼任する。アジア地域を中心にグローバル化を推し進めるデサント。多ブランド展開する同社の商品企画からブランド発信までマーケティングを管掌する。今期から始まった新中期計画で達成すべき事は何なのか、田中常務に話を聞いた。

既成概念を取り払う

今年4月に新設された「ロジスティクス統括部」は、マーケティング部門や営業部門、生産現場の担当者など物流・生産に関連するスタッフを1つにまとめた組織だ。素材の共有化や生産の一元化による効率化が期待される。

「過去3年間、アスレチック(競技種目)部隊とゴルフ部隊を1つにして、共通素材を開発するなど一体化を進めてきました。『ロジスティクス統括部』は、それに関わる開発系、生産系、物流系、生産業務系まで幅広い人材を集め組織化しました。旧営業部隊からの人間もいるし、旧マーケティングからの人間もいる。これである程度、仕入れ・購買政策が “見える化”できるし、アスレとゴルフを一気通貫で見ることもできるようになります」

田中常務はマーケティング全般と、セールスプロモーション統括部、ロジスティクス統括部が職域。商品企画とブランド発信に関わる部署だ。多ブランド間の住み分けや新規分野の開拓など、大所高所からの目線が必要な立場である。

「マーケティング全般と、セールスプロモーション統括部、ロジスティクス統括部が私の主な職域です。ブランドの住み分けに関して言えば、例えばアスレの中でランニングをどうするのかと言ったときに、今春から『イノヴェイト』を発表してその分野を攻め始めています。『イノヴェイト×デサント』とダブルネームで展開しているシューズブランドですが、トレイルランニングが強い。ロード向けのモデルもありますが、競合が激しいランニングにおいて、他社と同じ道を歩んでも恐らく市場開拓は難しいと思うからです」

既成概念を取り払うことが、新しい商材を生むきっかけだとも語る。ブランド観を逸脱しない範囲であらゆる可能性を探ることが必要不可欠だという。

「現在、当社のスキーウエアや山関連などの強みを活かして、トレイルランのシーンにおいて、『イノヴェイト』と『デサント』アパレルをつなげていこうと考えています。既存にはない新しいランニングスタイルを提案できるのではないかと考えています。新しい提案ができるのは当社の強みだと思う。15年ほど前、『デサント』ブランドのマルチカテゴリー(※)を立ち上げた時の経験から、既成概念を取っ払うことがエポックメイキングにつながると感じています。それまで私はスキーウエアの部隊にいたのですが、その時の機能性やカッティングなどをアスレチックウエアに応用することが出来た。結果的にそれまでのアスレウエアにはなかった斬新なものができました」

※…アスリートのオフ着としてスタートしたアパレル群。後にスポーツ雑誌「Number」とのコラボ企画のデザインなども定番化した。現在ではラインも増え、主力カテゴリーの1つになっている。毎シーズン、高機能商材を提案し続けている。同ラインから派生したウエアは今年2月にドイツで開催されたISPO(スポーツ用品の総合見本市)で優れた製品と認められ、金賞を受賞した。