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デサント 常務取締役 マーケティング管掌 兼 ロジスティクス統括部長
田中嘉一 氏
国内強化がグローバル化につながる

update: 2013/08/29

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高機能性を応用する

シューズビジネスの新しい突破口に期待する「イノヴェイト」

シューズビジネスの新しい突破口に期待する「イノヴェイト」

新たに開発した高機能性を応用することも重視する。オリンピックで開発した機能を他種目で活用するケースもある。

「バンクーバーオリンピックのカナダスピードスケート代表選手に提供したウエアの機能『エナジーリターン』を応用したのが、(ロンドン五輪で活躍した)競泳水着の『アクアフォース インフィニティー』です。着用したウエア生地のバネ(着圧、パターン)の作用でアスリートのパフォーマンスをサポートする機能が特長です。当社の機能インナーウエア『ジェノーム』もこの機能を応用しています。当社が扱う機能インナーはほかに『スキンズ』がありますが、これは段階着圧による疲労軽減が特長。タイムを競うアスリートには『ジェノーム』が適しているし、疲労軽減を求める人には『スキンズ』が適しています。どの販路に合うのか、同じカテゴリーの商材をどこへ提案するのか見極めるのも私の仕事です」

最強化ブランドに位置付ける「デサント」では、アウトドアの切り口で新しい分野の開拓を始めている。特にデサントコリアでは、アウトドアテイストの商材が市場から支持を集めている。

「『デサント』ブランドを(自社ブランドでアウトドアの)『マーモット』と同様の企画をしてはいけません。しかし、『デサント』ブランドでアウトドアラインを展開する時に中途半端もいけない。『デサント アウトドア』を展開する場合、今までのアウトドアとは異なる切り口を提案する。その中にはスキーウエアもある。したがって、スキーウエアの企画も変わっていかなければなりません」

「新しいアスレチックシーンを提案していきたい。『デサント』でトライアスロンもやっているが(スイスのナショナルチームと契約)、靴を通じて『イノヴェイト』と絡めることもできます。米国でもランニングとサイクルが1つのくくりになっている。そういった分野から攻めていきたいと思います」

海外強化は国内基盤の整備にも

新中計で重視する目標の1つが海外市場の開拓、ビジネスのグローバル化だ。海外市場の強化は、国内の強化にもつながると語る。

「海外強化・グローバル化は国内強化と連動しています。国内の体制がしっかりしていないと好調な韓国でも、中国市場でも、各子会社の売り上げも伸びません。海外ビジネスでは、『ルコックスポルティフ』はアジアが主力市場になります。本国との連携を強め、ライフスタイル分野で拡販を図りたい。『イノヴェイト』でもやはり海外でどれだけ伸ばせるかがカギ。しかし大切に育てていくべきで、時間はかかるが伸び率が多少、低くても構わないと考えています。最初はコンサル販売が必要だと思う。小売店などからは商品に対する高い評価を得ています。マーケティング部隊との共同作業だが、『イノヴェイト』の良さを流通の方々に分かってもらうのが当面の課題です」

田 中 嘉 一(たなか・よしかず)氏 1957年生まれ。79年4月、デサント入社。02年4月、第1事業部デサントマーケティング部長。06年4月、執行役員。07年6月、取締役第1事業部長代行。10年4月、取締役マーケティング部門長。11年6月、常務取締役。13年4月、マーケティング管掌。同年6月から現職。