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外資系上場スポーツ企業、2022年12月期の業績展望──① adidas Group
新しい経営トップの下、態勢立て直しを図る

update: 2023/01/30

adidas Group、2021年度・2017年度 財務数値一覧(表1)

adidas Group、2021年度・2017年度
財務数値一覧(表1)

2022年12月期の外資系上場スポーツ企業の本決算開示を間近に控えた現時点で、主要各社の業績を展望する。1回目は、adidas Group(アディダス社)を取り上げる。前期(2021年12月期)は、コロナ禍の影響から脱して着実に業績が回復した1年だった。当期(2022年12月期)は第3四半期終了時点で増収、世界規模のコスト増が影響し減益と苦戦傾向が続いている。

第3四半期時点で、増収減益の推移

adidas Group の2021年12月期(2020年度)は2ケタの増収増益だった。連結の売上収益は212億3,400万ユーロ(約2兆7,604億2,000万円、1ユーロ=130円で換算)、15.2%増で2ケタの増収。営業利益は19億8,600万ユーロ(約2,581億8,000万円、同)、66.3%増と増益となった。税引前利益は18億5,200万ユーロ(約2,407億6,000万円、同)、120.2%増と大幅な増益だった。

adidas Group、2022年12月期 第3四半期 財務数値一覧(表2)

adidas Group、2022年12月期 第3四半期
財務数値一覧(表2)

地域別売上高では、主力の「EMEA」が77億6,000万ユーロ(約1兆88億円、同)、23.0%増とけん引役になった。「North America」も51億500万ユーロ(約6,636億5,000万円、同)、13.0%増と好調な推移だった。

5期前の2017年12月期(2017年度)と比較すると、収益の金額もほぼ同水準まで回復した。一方、当期の2022年12月期は第3四半期まで苦戦が続いている。中華圏などコロナ禍の影響が一部地域で残っていること、世界規模のコスト増が収益の足を引っ張っている。

コロナ禍の影響が大きかったとはいえ、過去5年間で業容が目立って拡大していない。経営トップが替わり、体制を立て直している途上の同社だが、来期の巻き返しが注目されるところだ。(続く)