帝人フロンティア、スポーツ素材展 2025年春夏シーズン
プロダクトアウト型の新素材を開発
update: 2023/12/11
帝人フロンティアは2025年春夏シーズン向けのスポーツ素材展示会において、「MIXEL®NP」「ロフター」という2つの新しい機能素材を提案した。変化するスポーツ素材のトレンドを見越した、プロダクトアウト型の開発だ。次世代の主力素材を開発するという一面もある。
「MIXEL®NP」──ポリエステルとナイロンの良さを両立
2025年春夏シーズン向けの展示会では、①環境対応型商品、②新質感、③合繊ならではの機能性付与、という3つの開発キーワードを基に素材を開発、提案する。スポーツ分野で培った機能性を全ての衣料のニーズへも反映させる。
新たに提案する素材の1つが織物「MIXEL®NP」(ミクセルNP)で、ポリエステル(PE)とナイロンの良さを両立させた新素材だ。異型断面のポリエステルとナイロンの原糸を1本の糸にして、仮撚り加工により高い捲縮性を持たせた。生地にするとPEとナイロンの両方が表面へ不規則に現われるため、従来にはなかった風合いが出る。
昨今のトレンドである“スパン調”の風合いで、シャンブレー様の外観に仕上がる。嵩高性や撥水・速乾性、耐摩耗性などの機能性を併せ持つ素材になった。PEとナイロンの比率は50対50。
「ロフター」──“ポスト”フリースを狙った製品提案
「ロフター」は“ポスト”フリースを狙った製品提案だ。芯糸から繊維(花糸)が出ている“ラッセルモール糸”を採用した無縫製ニット。芯糸に高捲縮の「デルタ」の加工糸を使用し保持力を高め、繊維の脱落を抑制している。マイクロプラスチックなど環境保全に対応した機能性を持つ。
高い通気性を持ち、蒸れを経験するほか、嵩高性優れ、身体を包み込むような心地良い着心地が特長だという。無縫製技術「ホールガーメント」で製品化した。アウトドア分野を念頭に、フリースに替わる新しいアイテムとして提案する。
2023年シーズンは減収減益の傾向に
同社のスポーツ関連の素材ビジネスは、2023年シーズンは減収減益の見通しになりそうだ。上期における商況は、国外が減収減益。国内は増収減益だった。国内はコスト増の影響を受け、価格転嫁も充分に実施できなかった影響もある。
国内外ともにアパレル企業の在庫が余剰気味だと分析している。また国内を中心に在庫管理が厳しくなっており、しばらくは調整局面が続くと見ている。そのため、全体では減収になると見越している。