アシックス、第12回インベストメントデー
「オニツカタイガー」──これからの成長戦略
update: 2025/07/08
アシックスが7月7日、第12回インベストメントデーを開催した。毎回テーマを決めて、投資家やメディア向けに現状と今後の取り組みを説明する機会で、今回はライフスタイルブランドの「オニツカタイガー」を取り上げた。直営店を引き続き拡充すると共に、ブランド価値の向上も推し進める計画だ。
今期は売上高1,200億円、カテゴリー利益450億円を目指す
アスレチック系分野を主戦場にする同社において、「オニツカタイガー」はスポーツライフスタイル=カジュアルシーンを意識したブランドである。創業者・鬼塚喜八郎氏に由来する名称で、2002年に復刻された。2011年からは、ラグジュアリーライフスタイルブランドとしてのブランディングを本格的にスタート。卸主体だった流通形態から、直営店やEコマースなど、いわゆるDtoCへの転換を図ってきた。2019年には社内カンパニーとして組織を改編。アスレ主体の「アシックス」ブランドとは一線を画した方向性で、業容の拡大を進めている。
DtoCを強化してきた背景があり、また定番商品の比率が高いこともあり、安定してプロパー販売が可能な体制が整っている。売上総利益率(粗利率)は59%(2019年度実績)で、スポーツ関連ブランドの中でも高い水準である。今期は75%という高い比率を目指している。この比率は一般的なアパレル企業よりも高く、グローバルに展開するラグジュアリー企業の水準に近い。
今期2025年度は売上高1,200億円(25.8%増)、カテゴリー利益450億円(38.9%増)を目指す。売上規模は初の1,000億円台に到達する見込み。ほかのカジュアルブランドと比較しても、引けを取らない規模感である。ブランドの位置付けは、ラグジュアリーより安く、ファストファッションよりも高い価格帯を意識している。売上高は「日本」が最も高く407億円、「中華圏」が291億円、「欧州」が60億円、「東南・南アジア」が112億円(2024度実績)。「北米」は未開拓で、体制を整えて2027年度中に展開を始める計画だ。
今後は100周年(2049年)を見据え、1,500㎡規模のフルラインナップ展開の大型店を、世界の主要都市に4店舗以上出店する計画を立てている。ブランドの哲学やストーリーを発信するプラットフォームに位置付ける。また、「ラグジュアリーライフスタイル」分野の商材を拡大し、ブランド価値の向上にも力を入れる。