ミズノ、3Dプリンターを使ったシューズ「3D U-Fit」を開発──スポーツ業界で初、次代の主力製品に育てる狙い
update: 2024/12/02
ミズノが3Dプリンターを使ったシューズ「3D U-Fit」(スリーディーユーフィット)を開発した。スポーツ業界では初めてで、次代の主力製品に育てる狙いがある。各人の足型に適した専用のソールを3Dプリンターで製作する点が大きな特長だ。
独自の構造を開発、個人向けのソールを製作
同シューズの開発は6年前からスタートした。シューズに欠かせない要素を再検討した結果、「フィット感」と「ソール」の機能性が最優先事項だという結論に達した。中でも同社はソールに着目。3Dプリンターを活用し、各人の足型に合った専用のソールを製作して適切なフィット感を実現しようと考えた。
納得できるシューズができるまで、実に500もの試作品を製作したという。ソールの材料は、3Dプリントに適した特殊な合成樹脂を専業メーカーと開発した。出来上がったソールにはかかと周りを包み込む“カウンター”と呼ばれる部分も含まれている。よりフィット感が高まる工夫がなされている。
計測した足型のデータを基に、パソコン上で各人に適したソールの形状を構成する。その構造データを基に3Dプリンターでソールを製作。出来上がったソールをニット製のアッパーと接着して完成させる。この特殊なソールの“構造”は日本と米国で特許を取得している。ソールを構築するためのアルゴリズムと材料は企業秘密だという。
1つのソール製作に要する時間は20時間で、まだ量産は難しい。しかし3Dプリンターは既製品を流用しており、少ない投資で量産体制を整えていくことは比較的、容易だと思われる。ラインナップも、アッパーのカラーが白と黒の2種類、ソールの固さが2種類とまだ少ない。サイズは22-29cm。上代は5万5,000円(税込み)と高価なのはやむを得ないだろう。
来年4月1日から、直営店「MIZUNO TOKYO」でオーダー受付を開始する。納期は約2週間。当面は月産10-20足ペースを計画している。2030年度には、年間1万足の販売を目指す。将来的には、3Dプリンターを店頭に設置し、接客販売することも視野に入れている。従来の「大量生産の常識を変えたい」と考えている。