ミズノ、秋冬シーズン向けに新素材「テックフィルブレスサーモ」を開発
update: 2024/09/25
ミズノが秋冬シーズン向けに新素材「テックフィルブレスサーモ」を開発した。ポリエステルを主体にした人工ダウン素材──中綿で、吸湿発熱素材「ブレスサーモ」と組み合わせ、ダウンを超える機能性を追求した点が特長だ。
水鳥の羽毛にヒントを得る
秋冬シーズンの定番素材の1つが、保温性に優れたダウン。しかし濡れると保温力が下がってしまう、嵩高性が保てなくなるなどデメリットもある。「ダウンに替わる優れた機能性を持つ新しい素材――中綿を作れないものか」という発想を基に、2015年から開発がスタートした。
そこで着目したのが水鳥の羽毛。薄く、水に浮く軽さで、何層にも重ねられて保温性を発揮するという特性にヒントを得た。捲縮性のあるポリエステル(PE)の糸を使った不織布を羽毛に見立て、中綿に最適な“積層”の数や“厚み”を検証していった。その結果、PEの不織布を重ねて部分的に熱圧着された弾力性に富む中綿の開発にたどりついた。
この中綿の中に同社の吸湿発熱素材「ブレスサーモ」を混紡し、発熱機能を付加。ダウンと遜色のない保温性を保持しながら、発熱という機能性を付加することに成功した。中綿素材には後加工で撥水処理がなされており、水にぬれた場合でも嵩高性が保たれやすく工夫されている。
初シーズンはアウターに採用、ほかのアイテムへも展開予定
新素材「テックフィルブレスサーモ」は、ダウンを超える機能性を追求し、14層に重ねられた不織布で作られている。混率はPEが83%、「ブレスサーモ」が17%。吸湿発熱機能を保ちながら「ブレスサーモ」に撥水加工を施す工程が難しかったという。
初シーズンの24年秋冬では、アウターのコート類に採用している。今後は積層の厚みを変えて、「ほかのアイテムへの採用も視野に入れている」(グローバルアパレルプロダクト本部コンペティションスポーツ企画・ソーシング統括部、松岡俊祐部長)。
上代は、インサレーテッドコートが5万600円、野球向けのグラウンドコートが2万4200円(いずれも税込み)。2024年度の売上目標は2億8000万円。3年後の2027年度には10億円を目指す。