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『企業レポート』
「ザ・ノースフェイス」と「ユナイテッドアローズ」に見るブランド戦略

update: 2011/03/14

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ザ・ノースフェイス

ザ・ノースフェイス

ザ・ノースフェイス

多面的に見せるブランド観

一方、アウトドアブランドの「ザ・ノースフェイス」にも同じ手法・方向性を感じ取れる。3月3日、東京・原宿にオープンした「ザ・ノースフェイス 3(マーチ)」はレディス初のオンリーショップ。偶然にも、前述のユナイテッドアローズと同じタイミングでレディスの専門ショップをオープンした。「ザ・ノースフェイス」はこの新店のほかにも原宿に本来のラインの「ザ・ノースフェイス」や、よりタウンユースを意識したコンセプトショップ「ザ・ノースフェイス スタンダード」にショップを構える。また、表参道ヒルズにも黒を基調にしたコンセプトの異なるショップを出店している。これも同一のブランドで、様々な切り口で様々なイメージや商材を多面的に発信するという「バーバリー」的な戦略と共通点が見られる。

かつてゴールドウインが「ザ・ノースフェイス」を日本で販売し始めた当時は、現在のように小売店からの同ブランドに対する人気、注目度は皆無に近かった。卸先が確保できず、自ら売り始めた経緯がある。しかし今となってはこの小売りの経験が販売ノウハウの蓄積と店舗運営手法の確立に大きく役立った。スポーツ関連では、SPA(製造小売り)の体制が最も進んでいるブランドの1つと言っても間違いない。

ブランドビジネスという観点からは、こうした多面的な展開により、陳腐化を防ぎ顧客の固定化をより強化する手法は効果的だ。特定の顧客層を持った場合、一時的に大きく成長できるが、長続きしないことが過去にもよく見られた。既存ブランドでいかに新鮮味を顧客に対して提供し続けられるか、示唆に富む事例と言えるだろう。