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『マーケット分析』―― サッカー市場

update: 2011/01/20

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次世代顧客のジュニア層をどれだけ取り込めるか

次世代顧客のジュニア層をどれだけ取り込めるか

マーケットは横ばい、成長続けるフットサル

サッカーマーケットは、より品揃えや価格帯の競争力が優れているブランドがシェアを拡大しているようだ。市場規模そのものは、矢野経済研究所の「スポーツアパレル市場に関する調査結果 2010」によると、アパレルに限定されるが、2010年のサッカー・フットサルウエアが366億5000万円(0.7%増)、2011年は365億円(0.4%減)と微減の見通しだ。

昨年はワールドカップ(W杯)イヤーで、確かにジュニア層を中心に市場が活況を呈した面はあった。しかし、W杯は基本的に観戦層が盛り上がるイベントである。競技者層への影響はあまり大きくない。これは、ベースボールのW杯と現象が似ている。好影響があるとすればエントリー層、つまりジュニアだろう。「僕も私もやってみたい」というサッカーへの興味がジュニアたちをサッカーショップへと向かわせている動きはある。

売れ筋の定番は、「アディダス」「ナイキ」「プーマ」の3大外資ブランドに「ミズノ」「アンブロ」(デサント)、「アシックス」などが絡むというケースが多いようだ。「カッパ」「ディアドラ」「ヒュンメル」などは少数派。 一方、サッカー競技者と重複したファンを持つフットサルには注目が集まっている。フットサル市場はシリアスプレーヤー、レクリエーションとして楽しむファン層、サッカーの練習に活用するサッカープレーヤー層、女性層など様々な属性を持った顧客で構成される。メーカーはフットサル用のシューズやアパレルを販売しているが、室内用シューズなど一部の専用品番を除けば、サッカーと兼用で使われているケースが多い。フットサルの市場規模や売上比率を細かく算出できない理由がここにある。しかし、売り上げが拡大しているのは確かで、今後、期待が寄せられる分野であることは間違いない。

最も期待される点は、フットサルが新しい顧客を開拓できる可能性が高いこと。サッカーは最低22人集める必要があるが、フットサルはその半分の人数でプレーができる。スペースもほぼテニスコートと同じくらいで、最近は都市部にも専用施設が増え、仕事帰りに気軽に楽しめる環境が整ってきた。それほどハードではないため、女性も男性に交じってプレーを楽しむことができる。 規模はまだ小さいが、サッカーの振興策として、今後も注目を集め、進化を続ける分野だろう。