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ゴールドウイン、代表取締役社長 西田明男 氏
「日本のスポーツ文化が1つ階段を上るタイミングにある」

update: 2016/07/25

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新中計は世代間ギャップを埋めることも大切

2016年3月期実績、新中計数値目標

2016年3月期実績、新中計数値目標

前述の通り、新しい中期経営計画では、5年後の2021年3月期には、連結売上高800億円、営業利益65億円、経常利益73億円、連結ROE11.2%という数値目標を掲げている。5年間で約200億円の売り上げを上乗せするという野心的な計画だ。

「東京オリンピックを控えて、日本が世界に対して新しいスポーツの流れを見せるべきではないかと考えます。スポーツ選手だけではなく、一般の人も高齢者までもが、健康でスポーツを楽しんでいるという社会が必要ではないでしょうか。その試みの1つが『ニュートラルワークス』です。(スポーツファーストというキャッチフレーズの下、地道に収益を高めていく)基本は大きく変わりませんが、東京五輪を控えているこれからは、日本のスポーツ文化が1つ階段を上る良いタイミングだと思います」

新中計では、海外市場の開拓(売り上げの10%=80億円の目標)を積極的に行うほか、「ゴールドウイン」「C3fit」ブランド事業への積極投資、アスレチック事業における自主管理型ビジネスの強化などを掲げている。一方、社内的には世代間ギャップを埋める重要性も指摘する。同じ価値観の下、同じ方向性で企業を成長させていく上で肝になる部分だろう。

「今の若い社員は生まれてからずっと不景気だと言われて、高度経済成長期やバブル期の日本を知らずに育ってきた。企業の歴史も同じで、入社時はこれまでの会社の生い立ちや沿革を知らない。普段から、自身はゴールドウインの社員で○○ブランドを担当している、といった自身の立ち位置を認識したうえで仕事をして欲しいと言っている。若い社員はそうやって育てられて戦力になっていく。何年かたった時に、今後は後輩にも指導できるようになる・・その繰り返しだと思う」

中計の数値目標に目が行きがちだが、同社では事業への取り組み方や心構え、企業のありように重心を置いている印象が強い。西田社長の言葉からもそのことが読み取れる。「店頭でブランドの魅力を伝えていくことが当社の強み」と語る西田社長。直営や自主編集売り場の展開は、スポーツメーカーでは群を抜いている。SPA(製造小売り)体制の構築も然りで、店頭起点の姿勢が持続される限り、安定成長は確実だろう。注目すべきは、新たに試み始めたアスレチックビジネスである。

略歴 西田明男(にしだ・あきお)氏 1953年生まれ。77年10月、ゴールドウインに入社。89年6月、取締役(経営企画室長)。92年6月、常務取締役社長室長。97年4月、専務取締役事業部門長。2000年6月、代表取締役社長に就任。