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アシックス、2020年12月期 第3四半期
コロナ禍の影響残るも、利益を確保

update: 2020/11/18

アシックス、2020年12月期 第3四半期 財務数値一覧(表1)

アシックス、2020年12月期
第3四半期 財務数値一覧(表1)

アシックスの2020年12月期第3四半期(1-9月)の連結決算は、コロナ禍の影響が残り減収するも、営業・経常段階で利益を確保した。コロナ禍による店舗休止等損失がかさみ、四半期損益はマイナスとなった。

主力の「パフォーマンスランニング」が健闘

連結の売上高は2,482億600万円(13.3%減)と2ケタの減収だった。売上総利益率(粗利率)はほぼ横ばいの46.8%(0.2ポイント減)。販管費率が45.5%(2.9ポイント増)と増加幅を低く抑えられたこともあり、営業利益32億7,900万円(74.1%減)を確保するに至った。

粗利率はECの健闘などチャネルミックスにより0.4ポイント改善したが、工場への生産キャンセル料が発生したため、0.2ポイントの減少となった。経常利益は為替差損の発生もあり、2億5,900万円(98.0%減)にとどまった。四半期損失は、コロナ禍による店舗休止等損失がマイナス要因となった(表1を参照)。

アシックス、2020年12月期 第3四半期 カテゴリー別・地域別売上高(表2)

アシックス、2020年12月期
第3四半期 カテゴリー別・地域別売上高(表2)

部門別では、主力の「パフォーマンスランニング」が売上高1,222億400万円(3.6%減)、営業利益95億1,100万円(92.3%増)と難しい市況下で健闘した。欧州・中華圏・オセアニアが増収を達成。第3四半期(7-9月)は19%増と2ケタの増収で、欧州が41%増、中華圏が37%増と回復を見せた。また、ECの売り上げが大幅に増加。北米で170%増、欧州で157%増と好調に推移した。

「コアパフォーマンススポーツ」は減収・損失計上。日本市場では引き続き、ワーキングシューズが好調だった。「スポーツスタイル」は北米を中心に苦戦した。減収、赤字転落となった。「アパレル・エクイップメント」は引き続き厳しい状況にある。「オニツカタイガー」は減収減益と苦戦したが、利益を確保するに至った。

地域別では、「日本」の落ち込みが売上高709億円(23.1%減)と最も大きかった。「北米」も同487億円(18.9%減)と2ケタの減収。「欧州」は684億円(4.3%減)と踏みとどまった。「中華圏」が同309億円(3.8%増)と持ち直した(表2を参照)。

チャネル別では、主力の「ホールセール」(売上高1,713億円、15.9%減)及び「リテール」(同406億円、37.1%減)がコロナ禍による店舗休止の影響を受けて、苦戦した。その半面、規模はまだ小さいが、「EC」ビジネスが363億円(101.6%増)と倍増した。特に欧米の成長が大きかった。売り上げに占める比率は14.6%(8.3ポイント増)と大きく伸びた。

通期の業績見通しは、前回公表の数値を上方修正している。連結売上高が3,200億円(15.4%減)、営業損失が60億円、経常損失が90億円、当期純損失が170億円の計画だ。「例年、第4四半期はセールや在庫処分などもあり、利益が出にくい期間。加えて、欧州を始めとする世界各地でコロナが再び猛威を振るい始めており、結果として通期(年間)では赤字予想」(広報)としている。