主要合繊メーカーのスポーツ素材戦略（下）
独自素材で差別化、住み分け図る
update: 2013/05/09
東レの「エアータスティック」。
高密度織物だが、軽量感が特徴
スポーツアパレル市場において主要素材メーカーは、春夏シーズンの吸汗速乾・クーリング、秋冬シーズンの保温・発熱という核になる「根幹機能」をより向上させた商材を提供する一方で、自社でしか扱えない独自素材を差別化・住み分けの手段として強化を進めている。春夏を得意とするメーカーもあれば、秋冬に強みを発揮するメーカーもある。
ストレッチ性でも個性発揮
東レは13年秋冬シーズンで、高密度織物のポリエステルニット「エアータスティック」を市場投入する。細番手の糸を使っているため、軽量性に富む。アウトドアやスキーウエアで使用されている。アウトドアのシーンでは、軽量・薄手のトレンドが定着して久しい。「エアータスティック＋ストレッチ」は文字通り、ストレッチ性を加えたタイプで、ゴルフウエアを中心に採用される。「エアータスティック」も既存の機能性を改良した素材とも言えるが、ゴルフウエアなど新しい分野へ広がっていることも事実だ。
東洋紡スペシャルティズトレーディング（東洋紡STC）は、春夏シーズンではビジネスやカジュアル分野で「Zシャツ」という定番商材がある。節電ビズで一気に市場を広げた良き定番である。14年春夏シーズンはポリエステル100％のストレッチ素材「テクニスタ48（フォーティーエイト）」を提案した。ストレッチ性を持つスパンデックス（ポリエステルの弾性繊維）を数％ほど混ぜて伸縮性を持たせる手法が一般的だが、この素材を使えばその必要がなくなる。
「テクニスタ48」はコスト面に優れている点が特長。最もストレッチ性を発揮するのはトリコット編地だが、織物でも機能を発揮する。発色も従来並みのレベルが期待できる。水着などのスポーツウエアが対象だ。
