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合繊メーカー、機能素材トレンド
サステナブル、抗菌・安全性を意識した開発が増加

update: 2020/12/24

帝人フロンティアの 「DELTA®ntr™」

帝人フロンティアの
「DELTA®ntr™」

合繊メーカーが企画・開発する機能素材において、サステナブルや抗菌・安全性を重視したトレンドが増えている。元々、環境保全を念頭に置いたリサイクル素材のニーズが高まっていたところにコロナ禍が重なったことで、抗菌や安全性に対する意識も高まったことが背景にあるようだ。

ライフスタイル、カジュアルを意識したスポーツ

共通したトレンドは、①サステナブル、②抗菌に代表される安全性、③カジュアル、ライフスタイルを意識したソフトな生地――ニットの需要増、などが挙げられる。数年来、スポーツアパレル分野ではジャージーに替わり、杢調などのスエットが主流になっていた。見た目もスパン調、天然素材に近い風合いで、アウトドアやサステナブルのトレンドと親和性があった。

東洋紡STCの高捲縮ニット 「Scrumtech®」

東洋紡STCの高捲縮ニット
「Scrumtech®」

帝人フロンティアが2022年春夏向けに提案したのが、「DELTA®ntr™」(デルタ エヌティーアール)。主力素材「デルタ®」の新製品で、トレンドであるスパン調の表情を持たせている。いわゆるソーシャル・ディスタンスを保てるスポーツ種目――ジョギングやサイクリング、ヨガなどが盛んになったことも後押ししている。

「DELTA®ntr™」はサステナブルを意識し、リサイクルのポリエステル糸を使用。異なる“クリンプ”(縮れ)を持った複数の仮撚り糸を組み合わせ、スパン調の表面感、質感を持たせた。ランダムで微細な凹凸面表面のため、色も出やすい。そのため、採用できるウエアの幅も広がる。

東洋紡STCは2022年春夏向けのスポーツ素材として、高捲縮ニット「Scrumtech®」(スクラムテック)を開発した。高捲縮糸と高弾性糸を組み合わせたニット生地で、布帛ライクな表面感が特徴。機能性を持ったジャケットやシャツへの応用も可能だ。

抗菌に代表される安全性の切り口では、抗菌ウイルス加工生地「NANOBARRIER®」(ナノバリアー)を提案した。「SEK」と呼ばれる抗ウイルス加工の認証を受けた素材だ。

東レは、同社独自の繊維加工技術により、抗ウイルス加工の耐久性と快適な着用感につながるソフトな風合いを実現したポリエステル素材「MAKSPEC® V」(マックスペック® V)を開発した。ウイルスの外側に脂質膜(エンベロープ)を持つ「エンベロープ型ウイルス」に対して効果を発現する機能がある。当初はワーキングやスクールからスタートし、スポーツやカジュアルまで幅広い採用を目指している。