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合繊メーカー、広がる輸出強化の動き

update: 2016/01/20

東レの「ダーミザックス®3D」

東レの「ダーミザックス®3D」

合繊メーカーのスポーツを主体にした機能性素材において、輸出を強化する動きが広がっている。アウトドア向けの高密度織物が主体で、円安の影響もあり停滞気味の国内ビジネスをフォローする存在になりつつある。

欧米中心にアウトドア向け素材が堅調

機能性素材のビジネスは、まだまだ国内市場がメーンだが、輸出を強化・拡大する方向にある点は各社に共通した傾向だ。メーカー間で多少、格差はあるが、徐々に貢献度が高まっている。対象地域は欧州や北米市場が中心で、主にアウトドア向けの高密度織物素材が堅調である。また、グローバルアパレルメーカー向けの生地提供が進んでいる事例もある。

東レは透湿防水素材「エントラント®」および「ダーミザックス®」の素材群を中心に、主にアウトドアシーン向けの輸出を強化している。国内のアウトドア市場は一服感が強くなっていて、円安傾向でもあり、現在の成長市場は国外である。16年の展示会で新たに登場した「エントラント®3D」および「ダーミザックス®3D」の新素材にも力を入れる。

帝人フロンティアは輸出ビジネスがけん引役になっている。現在の機能素材ビジネスに占める輸出比率は40%強で、北米市場を中心に好調だという。背景には、2年前に素材開発部隊(帝人ファイバー)と商社・OEM部隊(NI帝人商事)が一体化して帝人フロンティアとして発足した新組織が、ようやく力を発揮できるようになったことがある。こうした商社機能が素材開発と連携することで、グローバルアパレルと直接、商談できるようになってきた。

東洋紡STCも高密度織物を主体に アウトドアが堅調

東洋紡STCも高密度織物を主体に
アウトドアが堅調

東洋紡STCも輸出は順調だという。アウトドアが堅調で北米市場が活発、欧州は昨年並みの推移だ。ナイロンを主体にしたアウトドア向けの高密度織物が主力。国内も為替の影響が解消されつつあり、回復基調にあると見ている。

旭化成アドバンスもアウトドア分野で輸出ビジネスがけん引役になっている。国内ビジネスも前年比をクリアしている状況だ。ユニチカトレーディングは、強化素材の1つで撥水機能を持つ「タクティーム®」が海外ラグジュアリーブランド向けに輸出が決まっている。付加価値のある素材を提案していこうと考えている。

三井物産テクノプロダクツの「パーテックス®」は欧州市場で知名度が高い。売上規模も2015年度は50億円に近付く見通しだ。海外での知名度を生かし、国内市場の開拓も進めている。2本目の柱に据える「プリマロフト®」では、ライセンス展開する生地ビジネスも強化ポイントである。

各社ともにようやく円安の影響を吸収できつつあるようだ。輸出ビジネスには追い風になるし、反転攻勢の体制を整えつつある。