『マーケット分析』
「ゴルフウエア市場 vol.2」 顧客獲得の“次”を模索する
update: 2011/04/11
キャラクターを一新した「M・U SPORTS」
ゴルフウエア市場はダウントレンドの流れに入っているようだ。しかし、すぐにゴルファーがいなくなってしまうわけではないし、やりようによってはまだまだファンを獲得できる可能性はある。既存顧客が離れないようさらに働きかける、新しいファンを開拓していく方法として、様々なことが試みられている。
ゴルフウエアがファッションの一面を併せ持っていると考えられるのは、その時々のはやりがデザインや色目に反映されるからだ。例えば今年秋の企画では、「マンシングウェア」「ロサーセン」「ダンスウィズドラゴン」などで、“アウトドア・テイスト”のアイテムが散見された。ゴルフウエアという本分からは逸脱していないが、足下の時代の雰囲気を少し盛り込んだ企画と言えるだろうか。
10年秋冬、11年春夏のタイミングで、ブランドの統廃合も進む。マーケットシェアの地図も一部、塗り替わりつつある。新しく顧客を獲得するチャンスでもある。
ツー・アンド・ワン(東京)の「M・U SPORTS」は今春、店舗数が増えた。千葉そごう、小田急ハルク、大丸心斎橋店とゴルフウエアを強化している百貨店に新たに出店した。「ミエコ・ウエサコ・スポーツ」「ミラ・ショーン・スポーツ」など顧客像が近しいブランドが休止したことによる追い風もあった。11年秋冬企画では、元々強みにしている犬のキャラクターをリニューアル。デザインを洒脱に洗練する狙いがあったようだ。主要顧客は50代以上と高齢化が進んでいる。40代半ばから後半の新規顧客を取り込む目的でマーチャンダイジングを一新した。
グリップインターナショナル(神戸)は3月20日、ウェブのオンラインショップでゴルフウエア「ビバハート」の販売を始めた。「ロサーセン」「ビバガール」も同時に展開し始めた。4月半ばには、「J.リンドバーグ」の扱いもスタートする。主力ブランドの「ヒールクリーク」は百貨店などが主要販路のため、比較的顧客の年齢も高め。オンラインショップよりリアル店舗を選ぶ比率が高い。現在、ウェブ上で販売しているブランドはいずれも20-30代を対象にした若い世代向け。インターネットに対する抵抗のない世代である。リアル店舗に比べればまだその売上規模は大きくない。しかし次世代の新しい顧客を増やしていくための一手段である。