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『マーケット分析』
転換期に差し掛かった百貨店――スポーツ編

update: 2011/03/28

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プレーとカジュアルを両立。大丸梅田店ゴルフウエア売り場

プレーとカジュアルを両立。大丸梅田店ゴルフウエア売り場

プレーとカジュアルを両立。大丸梅田店ゴルフウエア売り場

百貨店の売り値が漸減してきた一方で、スポーツ専門店の一部では、価格面でも商材面でも百貨店に近づきつつある店舗も少しずつ増えている。女性客を意識したアウトドアショップやゴルフウエアショップがその最たる例。中には大丸のようにそうした専門店を自社の店舗のテナントとして取り込んでしまうケースもある。従来型ではない、新しい業態が必要になってきたことは間違いない。

そういった“次”への模索を試みている売り場も存在する。しかしそれが次の主流にまでは成り得ていないのが現状だ。今春、新規開業が集中している大阪市内の百貨店を例に挙げる。

その時々のはやりを取り上げるのが百貨店なので、現在のスポーツ売り場のトレンドは「アウトドア」「ランニング」「ゴルフ」である。そごう・西武グループを除く4大勢力――三越伊勢丹、阪急阪神、大丸松坂屋、髙島屋――が集まる大阪市内。「ゴルフ」では大丸心斎橋店、髙島屋大阪店、阪急イングス、阪神百貨店がプレー志向の編集。5月4日に開業する三越伊勢丹は、メンズカジュアルの一角にゴルフウエアを加える予定だ。伊勢丹は新宿のメンズ館でもゴルフウエアを展開しているが、ここもメンズカジュアルから派生した商材とみなしている節がある(あるいは迷っているという意見も聞くが)。レディスゴルフウエアは新宿店本館で展開しているので、メンズのゴルフウエアをどう位置付けるかが悩みの種かも知れない。大丸梅田店はプレー志向だが、メンズカジュアルのブランド群と同じ区画にある。カジュアルとの連動という点では、三越伊勢丹に近い。

次に「アウトドア」では、イングス、髙島屋、大丸梅田が山ガールを意識した売り場作り。三越伊勢丹は「ゴルフ」と同様、メンズカジュアルの中に組み込まれる予定だ。「ランニング」はイングス、大丸心斎橋店、髙島屋が力を入れている。スポーツをカジュアルととらえる三越伊勢丹、競技というコンセプトを守り続けるイングス、店舗特性に応じて編集を変える大丸、すべてを揃える王道の髙島屋――といったところか。

これはスポーツに限った話ではないが、前述の百貨店における様々な売り場の試行錯誤は今後のひとつの方向性を見極める上でとても参考になると思う。