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国内ベースボール市場を俯瞰する(上)
13年シーズンに新規参入ブランドが増加

update: 2012/08/06

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アシックス、「アシックス」ブランドに手応え

アシックスは「スピード ベースボール」をコンセプトにする

アシックスは「スピード ベースボール」をコンセプトにする

アシックスは13年シーズンからすべてのベースボールアイテムを「アシックス」ブランドで展開する。従来は用品で米国のローリングス社とライセンス契約を交わしていた。シューズは「アシックス」ブランドだった。来期からローリングスはジャパン社を通じ、独自に「ローリングス」ブランドのベースボールアイテムを展開することになる。

オール「アシックス」ブランドで初めて臨んだ13年春夏の展示会に手応えを感じている。小売店の反応もまずまずで、主力店の200社に加え、まだ増える様相だという。日本全国を巡回した展示会に訪れた小売店の数は1500-1600店に上った。

同社にとってベースボール事業が重要な戦略領域の1つであることは間違いないが、実際はここ数年、売り上げは低迷していた。ピークは1991年の117億円。2011年度は60億円まで縮小していた。

ブランドを「アシックス」に一本化した背景には、数年来全社で進めていたブランド統合の流れがある。陸上や水着のブランドでも統合を進めていたので、ベースボールが対象になるのも自然な流れだったようだ。すでに5-6年前から統合の話は出ていたという。また「アシックス」と「ローリングス」の2ブランドが混在していたため、充分に力を発揮できていなかったのではとも分析する。「アシックス」ブランドに統合することで、よりチャレンジできるだろうと判断したようだ。

商品のコンセプトは「スピードベースボール」。操作性の良い軽いグラブ、慣性モーメントの低い振り抜きやすいバット(時速2.8km速くなるという)、軽量化されたスパイクなど、コンセプトに基づいた開発がなされた。強みは「高機能性、高品質」。数々のシューズも開発されてきた「アシックススポーツ工学研究所」のデータ分析を商品開発に生かした。アパレルに関しては、チーム受注でマーキングを得意にするレワードと提携する。新規チームを含めたユニフォーム受注を強化。納期を短縮しようと試みているという。

ターゲット層は17万人の高校生や大学、社会人が中心だが、実際は全方位展開になる。営業も強化する。従来もほぼ直販で展開していたため、ブランドが変わっても大きな影響はないという。ウエアでシェアを広げないと売り上げが伸びないと見ており、売り上げの約40%を占めるアパレル関連が浮上のカギを握っている。

(次回は8月9日更新)