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“ポスト・コロナ”に臨む
生産・物流・販売──主要スポーツ各社の方針(下)

update: 2020/07/27

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デサントはコロナ禍で在庫が増加。 今期は10店程の直営店展開を計画する (写真は「デサント ブラン」)

デサントはコロナ禍で在庫が増加。
今期は10店程の直営店展開を計画する
(写真は「デサント ブラン」)

現在もその影響が色濃く残る“コロナ禍”。多くの面で、経済活動が正常に戻りつつあるほか、プロスポーツの試合も実施されるようになってきた。 “ニューノーマル”の言葉に象徴されるような、新しい企業のあり方が模索され始めている。主要な上場スポーツ企業はどういった施策を採るのか──前回に引き続き、生産・物流・販売というポイントについて、今後の方針をまとめた。

再編が進む生産拠点

対象にした企業は、国内の主要上場スポーツメーカー5社(アシックス、ミズノ、デサント、ゴールドウイン、ヨネックス。順不同)。コロナ禍により「生産、物流、販売」の各面で、今後の方針に変更があるかどうかを聞いた。今回はデサント、ゴールドウイン、ヨネックスの3社の取り組みを紹介する。

デサント──在庫過多の状況に、直営店は今期10店程度を出店予定

デサントでは、武漢を震源地とした中国での感染拡大に伴い、同国内の生産拠点においては、旧正月休みを2-4週間延長することとなった。その影響で、2020年春夏シーズン向けの商品において、一部に納期の遅延が発生した。その他の地域――バンクラデシュやミャンマーでもロックダウンが発生した影響で、一部の納期に影響が出たようだ。現在は前述の地域すべてで正常化しているという。

生産拠点については、コロナ禍が発生する前より、中国からASEANへのシフトを着実に進めている。現在も海外生産におけるコロナの影響が沈静化しつつある中で、生産拠点のシフトを推進している。

物流面では、取引先の営業停止などの影響で商品出荷が大きく減った上、一部返品もあった。そのため物流センターで保管している在庫が大きく膨らんだ。既存の物流センター以外にも倉庫を新たに確保し、キャパシティーを超えた在庫を移して対応したという。緊急事態宣言の解除後は在庫が動き出したというが、完全には解消されていないようだ。物流の環境がかわってきているため、今後も継続的に効率化を追求する。

販売面ではコロナ禍と関係なく、ECや直営店の強化は同社の注力案件だ。今年4月には組織改編し、関連の人員を強化した。ECビジネスは後発と認識しており、スピード感を持って対応する構えだ。直営店は今期で10店程度の出店を計画している。