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“ポスト・コロナ”に臨む
生産・物流・販売──主要スポーツ各社の方針(上)

update: 2020/07/22

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生産拠点のリスクヘッジを進める アシックス

生産拠点のリスクヘッジを進める
アシックス

年明けから急速に広がった“コロナ禍”の影響で、世界的に経済活動が抑制される事態に陥った。スポーツ業界も例外ではなく、国内の関連企業が苦戦を強いられている。緊急事態宣言が解除され、小売店の営業もようやく正常化してきた昨今。“ニューノーマル”の言葉に象徴されるように、新しい企業のあり方が模索され始めている。主要な上場スポーツ企業はどういった施策を考えているのか── 生産・物流・販売というポイントについて、今後の方針をまとめた。

生産・物流面は対応分かれる、DTC強化が共通点

今回取り上げるのは、国内の主要上場スポーツ企業であるアシックス、ミズノ、デサント、ゴールドウイン、ヨネックスの計5社(順不同)。コロナ禍により「生産、物流、販売」の各面で、今後の方針に変更があるかどうかを聞いた。生産や物流面では、各社の方針や対応は分かれたが、DTC(Direct to Consumer)を強化するという点は共通している。リアル店舗が営業を自粛せざるを得なくなった事態が、少なからず影響しているようだ。

アシックス──生産拠点のリスクヘッジを進める

アシックスは、物流及び販売については当面、大きな見直しを考えていない。販売において、コロナの影響でより一層、Eコマースの必要性や重要性が加速していくと考えている。デジタルを軸にサービスを強化する一方、ランニング専門店などとの取り組みにも力を入れる。

また、DTCの強化も重点課題の1つだ。第1四半期(1-3月)において、自社ECの売り上げが前年同期比で57%増と大きく伸びた。販売面で、デジタル化がさらに進むと分析している。リアル店舗の直営店は、「ブランドの世界観を伝える場として重要な拠点」だと考える。自社EC、直営店共に、顧客との「直接的なタッチポイントとして」引き続き強化する方針だ。

生産面では中国国内の工場が稼働を停止したが、主力工場はベトナムとインドネシアに移っており、また両国の稼働停止が1-2日ほどに止まった。一部の材料の輸入に影響が出たものの、生産全体への影響は軽微だったという。主力商材のスポーツシューズの基本的な材料は、生産国内で現地調達している。置き換えが可能な素材も、生産国内で調達できるように準備を進めている。

一極、一国に集中するというカントリーリスクの回避は、「安定的な商品供給のためには重要なポイント」だと認識。現状では、OEM工場がベトナムとインドネシアの2カ国に主力工場を構えている点がリスク回避に役立っている。