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帝人フロンティア、取締役 衣料繊維 第一部門長 鈴木哲志 氏
「基本は高機能性素材を開発し続けること」

update: 2017/03/13

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スポーツの経験を活かして、日常分野へも進出

昨今の機能素材のトレンドは、軽量やストレッチ性という“快適性”をもたらす要素に関心が集まっているようだ。これは主戦場のスポーツマーケットで培った高い機能性を応用できる、有望な新規市場である。

「昨今の機能素材のトレンドは、軽量・ストレッチでしょう。スポーツシーンでも、軽量になっている傾向が見られます。ポリウレタンよりも(ストレッチ性があるPTT=ポリトリメチレンテレフタレート使用の)『SOLOTEX®』(ソロテックス)。布帛よりニットの傾向があります。エンドユーザーも合繊慣れしてきていると感じる。スポーツに限定せずに、かなり全方位的に展開できると思います。もちろん、スポーツで頂点の素材を開発することも並行して続けます」

昨今、スポーツマーケットで注目を集めている“アスレジャー”の切り口については、冷静に見ている。十分に市場が形成できていないと考えているためだ。

「“アスレジャー”はどういったシーンを想定しているのか、明確ではないと感じています。既存のライフスタイルとは少し異なるかも知れないが――潜在的なニーズはあるのでしょうが、あまり意識はしていません。“コンフォータブル”(快適性)を切り口にしたものづくりはあるだろうが、アスレジャー狙いの企画にはあまり取り組んでいません。欧米と異なり、日本では(外資系スポーツブランドが提案する“アスレジャー”の切り口である)『フィットネス』市場はそれほど大きくないと思います。ヨガウエアなどは売れていますが、あまりハードなシーンは少ない」

スポーツシーンで蓄積した機能性を、一般のアパレルにも拡大しようとしている。それにはスポーツ市場でしっかり高機能性を訴求できることが条件だと考えている。

「スポーツアパレルの一番、高機能でしっかり訴求できないと、汎用・日常ニーズにも応用することができません。手に取って、着たときの着用感が大事だと思います。そういう意味ではスポーツメーカーには鍛えられている。我々も(機能面で)尖ったことをやらないといけない。そうしたことをやれる力がないと、事業を維持できないのではないでしょうか」

略歴 鈴木哲志(すずき・てつし)氏 1961年生まれ。84年4月、帝人入社。2005年7月、帝人ファイバーテキスタイル事業部ファッションテキスタイル販売グループ大阪衣料チーム長。09年、長繊維事業部門スポーツ・インナーグループ長。12年10月、帝人フロンティアテキスタイル本部スポーツ・インナー部長。14年4月、衣料繊維第一部門繊維素材本部長。16年4月、同部門長。同年6月から現職。