スポーツ上場7社 2012年3月期(2011年度)の展望
増収増益の企業が過半数を占める
update: 2012/04/02
回復基調は本物か?
表3に2012年3月期見通しと2007年3月期実績の決算数値を並列している。この2つの決算期の間にはリーマンショックと東日本大震災が挟まれている。2012年3月期では、アシックスとグローブライドを除く5社が増収増益(ゼットは黒字回復)の見通し。見通しでは、回復基調の企業が過半数を占めている。
現在、活況を呈しているスポーツ市場は、国内ではシューズと中心にしたランニング、アウトドア。競技者層は横ばい・漸減で、野球・ゴルフ市場は苦戦傾向が続いている。
欧米やアジアなど海外市場で売り上げを伸ばしている企業が堅調だ。アシックスやミズノは主に欧米で、デサントやゴールドウインは主にアジアで売り上げを伸ばしている。円高の影響もあったが、おしなべて増収増益に貢献している。売り上げの約70%が卸ビジネスのゼットは苦戦を強いられているが、2012年3月期では増収黒字回復の見通しだ。また有利子負債が少額のため、B/S上の負担が少ない。
グローブライドは減収傾向に歯止めが利かない。7社の中では唯一、減収傾向が緩和されていない。効率化には限界があるので、早期の増収が待たれる。ヨネックスは増収増益の見通しで、リーマンショック前の水準に戻る見通し。
2011年度は震災特需など一過性の要因があったため、今期も回復基調が続くかどうかは未知数。オリンピック、マラソン熱、アウトドア、健康志向などスポーツ市場への関心を高め、活性化を促す機会をいかにとらえていくか。反転攻勢の年が始まった。