『企業レポート』
伊藤忠商事 繊維カンパニー 2010年度決算
増収増益、ジャヴァHD、レリアンの子会社化が後押し
update: 2011/05/16
伊藤忠商事が6日、2011年3月期決算(米国会計基準)を発表した。繊維や機械、金属・エネルギーなどが貢献し、増収増益を達成した。連結売上高は11兆3925億8900万円(10.5%増)、営業利益は2560億8200万円(73.7%増)、税引前当期純利益は1820億9700万円(17.5%増)だった。また同日、同社繊維カンパニーの決算も併せて公表された。連結売上高は5877億2500万円(13.7%増)、営業利益215億6800万円(1.8%増)。10年3月期下期に実施したジャヴァホールディングス(HD)およびレリアンの連結子会社化が増収・増益に貢献した。
繊維カンパニーの10年度業績において大きな影響を及ぼしたのが、10年3月期下期に実施したジャヴァホールディングス(HD)およびレリアンの連結子会社化だ。ジャヴァは神戸エレガンスのレディスアパレルメーカー、レリアンは量販店を主販路にした肌着専業メーカーである。震災の影響もおよそ10億円とあまり大きくはなかった。結果的に増収増益を達成したが、期末に決定した傘下のアパレルメーカー、ライカの解散が影響し、約50億円の損失が発生した。ライカが展開していたライセンスブランドは他社へ事業譲渡され、自社ブランドは事業撤退した。自社ブランドの1つ、ゴルフウエア「グリーンクラブ」も整理の対象になった。4月末日で同社の解散は完了している。
同カンパニーは10年度において、いくつかの事業投資や新規プロジェクトを実施した。その1つが、中国国内市場におけるTV通販業界への進出だ。昨年10月、中国通販業界で第4位のLuckyPai Ltd.(上海)に、韓国ロッテグループと共同出資。年率30%の成長が見込まれる中国のTV通販市場へ本格参入した。また同年11月には、中国向け通販を手掛けるFortune Link(Global)Holding Ltd.(香港)へ出資。「レスポートサック」などの販売に取り掛かった。
中国国内へのブランド導入も取り組みの1つだ。昨年9月、寧波杉杉を通じ、「エル」ブランドの店舗展開をスタートした。今年3月末時点で店舗数は34(直営7、フランチャイズ27)にまで拡大している。また同12月には、同じく寧波杉杉を通じて、子供関連用品のセレクトショップ「ストンプ・スタンプ」の店舗展開を始めた。上海新天地に1号店を開設した。14年末までに30店を出店する計画だ。