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ミズノ ベースボールビジネス
「ミズノBSSショップ」の戦略とは──

update: 2016/06/27

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小売店の90%が賛同、売上推移も前年並みをキープ

「ミズノプロ」硬式グラブ(投手手用)。 エンドユーザーにも新しい価値観が 受け入れられている

「ミズノプロ」硬式グラブ(投手手用)。
エンドユーザーにも新しい価値観が
受け入れられている

メーカーが自社ブランドの価値観を維持したいと考えるのは自然な思考だ。それでは、小売店側はどういう反応だったのだろう。「ミズノプロ」を取り扱うためのハードルが高くなるわけだから、反発もあったのではないかと想像するが……。

「『BSSショップ』の構想について各店へヒアリングに行ったところ、実に90%の小売店が賛同してくださった。全国のベースボール関連専門店の647店(うち108店は大型店)が『BSSショップ』としてスタートを切った。確かに前身の『K‐KLUB』と比べると70-80店登録数が減少したのは確かだ。しかし、われわれの予想に反し、売り上げは減っていない。エンドユーザーが新しい提案を受け入れてくれているようだ」(久保田事業部長)

前述の通り、「BSSショップ」は硬式グラブおよび一部軟式のハイエンド商品「ミズノプロ」に限定した取り組みだ。「BSSショップ」のスタートと同時に、「ミズノプロ」グラブの取り扱い条件を厳格化したが、その条件が5つの約束に集約されている──小売店の接客力と専門知識、技術力である。「ミズノプロ」の全商品の約70%は「BSSショップ」のみで扱われている。ハードルは高いが、その条件をクリアした小売店としては、他店との差別化にもなるわけだ。

「BSSショップ」のロゴ

「BSSショップ」のロゴ

ちなみに、同社のベースボール事業全体の売上推移は、今期に入ってから昨年並みが続いている。少子化、競技人口の減少、競合他社の増加という厳しい市況下では、健闘していると言えるだろう。硬式グラブを中心に「BSSショップ」の貢献も少なくない。健闘している商材は「ミズノプロ」のほか、「ミズノプロ」に次ぐトップ商材の「グローバルエリート」、そのほか軟式では、バット「ビヨンドマックス」シリーズが累計70万本を超えるなど安定した売り上げだ。

「『ミズノ』ブランドの価値観を感じてもらえる高額品は、エンドユーザーの反応がいい。いわゆる消耗品では、優位性を発揮できていない。これからも価格訴求型の商品を追いかけず、しっかりとブランドの価値観を感じてもらえる商材に力を入れたい」と語る久保田事業部長。「BSSショップ」の展開により、その目標が徐々に達成されつつある。