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ゴルフウエアの新規ブランドが増加、コロナ禍でも活況の市場(中)

update: 2022/06/22

キャラクター柄を大胆に配置した デザインも定着した(「ダンスウィズドラゴン」)

キャラクター柄を大胆に配置した
デザインも定着した(「ダンスウィズドラゴン」)

2003年の宮里藍選手の活躍がきっかけとなり、その後ゴルフウエア市場では新しいブランドが林立するようになる。スポーツメーカーが片手間で作っていたようなゴルフウエアが、アパレル企業によりファッションとして位置付けられるようになっていった。

アパレル企業の新規参入も当たり前に

2000年代の流行は、スポーツウエアの一分野だったゴルフウエアに多様性をもたらした。メンズ顧客が多かった市場に女性ゴルファーを呼び込むという一定の効果があったほか、アパレル企業が専用ブランドを立ち上げる事例も増えた。新規顧客も増えて、売り場も市場も活況を呈するようになっていった。

商品企画に加え、販路の有り様にも変化が現われた。長らく日本国内の主なゴルフウエアの販路は百貨店、ゴルフ量販店・専門店だったが、2003年以降はセレクトショップやEコマースなど新しい売り場で扱われるようになった。ファッション要素の強い商品だと、従来のスポーツ系販路では扱うことが難しくなる。企画と販路が高いに刺激し合いながら、市場が多様化していった観がある。

2010年代に入ると、ゴルフウエアのテイストはさらに細分化、個性的に変化、進化していく。元々トラッド色の強かった日本のゴルフウエアだが、特定のキャラクター(動物やアニメの登場人物など)を使ったデザイン、明色やビビッドカラーの使用、新しいディテールの採用など、表現の幅が広がっていった。“ドラゴン”のキャラクターを使用した「ダンスウィズドラゴン」(DWD)、パステル調が特徴の「アルチビオ」などはその代表事例だろう。「DWD」はキャディーバッグのEC販売からスタートしたブランドで、のちにアパレルが加わった。市場の変化の波に乗ったブランドの1つと言える。バッグや服飾雑貨などアクセサリー類が充実していったのもこの時期である。

一方、スポーツメーカー由来のブランドでも、新しいテイスト、切り口のゴルフウエアが台頭してきた。アスリート系ゴルフ(アスレゴルフ)などと呼ばれる分野で、「ナイキ」「アディダス」「プーマ」という3大外資ブランドがけん引役になった。機能素材の発達も後押しし、吸水速乾や立体裁断などの新しい機能が採用されるようになった。従来の綿100%で鹿の子というゴルフウエアの印象を一変させる企画が増えていった。

ゴルフウエアは2020年までに、テイスト、機能性、デザイン、販路など様々な面で開拓・開発が進んだ。スポーツウエアの機能性とアパレルブランドのデザイン性を併せ持ったウエアに変貌を遂げた。(続く)