ゴールドウイン、2024年3月期 連結決算──2連続で過去最高収益を達成
update: 2024/05/17
ゴールドウインの2024年3月期連結決算は、2連続で過去最高収益を達成した。「ザ・ノース・フェイス」(TNF)および「ゴールドウイン」ブランドがけん引役となった。主力の「ライフスタイル」カテゴリーが2ケタ増と原動力になった。
「ザ・ノース・フェイス」「ゴールドウイン」ブランドがけん引役に
連結売上高は1,269億700万円(10.3%増)と2ケタの増収。第3四半期(10-12月)が暖冬で苦戦したが、第4四半期に勢いを増し、プラス成長を果たした。「TNF」のファッションウエアがインバウンド需要を取り込み、直営・卸ともに健闘した。
売上総利益率(粗利率)は52.9%(0.7ポイント増)。販管費率も増えたが、増収分で吸収し、営業利益は238億4,700万円(8.9%増)の増益となった。経常利益も326億100万円(16.1%増)と2ケタの伸び。韓国の持分法適用会社、YOUNGONE OUTDOOR社が好調で、投資利益が過去最高となった。
事業区分別の売上高でも、全カテゴリーで増収を達成した。主力の「ライフスタイル」は741億7,400万円(11.0%増)と2ケタの増収。「パフォーマンス」は418億2,000万円(6.5%増)と堅調な推移だった。「ファッション」は109億1,100万円(22.0%増)と好調に推移した。
財務面では、棚卸在庫が増えているが、これは春夏商材を前倒しで積み増したことによる影響。また、過度なマークダウンを減らしたこと、関東の物流センターの安定した稼働を優先した影響もあった。
アスレ系の4ブランドを終了
通期の業績は、増収減益の見通しだ。これは強化ブランドに据える「ゴールドウイン」への積極投資、本社移転費用などが計上される影響を含んでいるため。「TNF」など直営店における販促費なども増やす予定である。
「ライフスタイル」「ファッション」は増収の計画だが、「パフォーマンス」は2.0%減の減収見通し。これはアスレ系の4ブランドを休止する影響を含んでいる。下期の2024年秋冬シーズンで、テニスの「エレッセ」、ウエルネスの「ダンスキン」、スノーボードウエアの「241」をそれぞれ終了する。またゴルフウエアの「ブラック&ホワイト」は年内に終了し、「アンパスィ」ブランドに統一する。
このタイミングでブランドの整理を実施する理由は、「ゴールドウイン」ブランドの拡大に人的、経済的なリソースを集中させるためだという。また、強みにする「高機能製品へのエンドユーザーからの期待度が高まっている」(渡辺貴生 代表取締役社長)と感じている背景もあった。今期はこれからの成長期の礎になるような「転換期に位置付ける」(渡辺社長)。