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主要国内上場スポーツメーカー──過去5年間の収益動向を見る
第4回:ゴールドウイン
主力のアウトドアビジネスが強み

update: 2018/01/24

ゴールドウイン、2013年3月期 財務諸表(表1)

ゴールドウイン、2013年3月期
財務諸表(表1)

国内の主要な上場スポーツメーカーの過去5年間の収益動向をまとめた財務分析レポート。第4回目は、ゴールドウインを取り上げる。「2013年3月期」と「2017年3月期」の業績を比較する。途中、アスレチックブランドの「チャンピオン」を事業譲渡するなどしたが、そういった影響を他のビジネスでフォローし、収益は堅実に増加している。

SPA的な売り場管理が功を奏す

ゴールドウイン、2017年3月期 財務諸表(表2)

ゴールドウイン、2017年3月期
財務諸表(表2)

連結売上高は、2013年3月期に525億円(8.0%増)だったが、2017年3月期には609億円(16%増)と順調に増加している。営業利益は13年が19億円(68.2%増)で、17年は39億円(24.9%増)とほぼ倍増している。2016年3月期に事業譲渡した「チャンピオン」ブランドの減収分を、アウトドアを中心とした既存事業でカバーしている。

売上高は17年3月期で7年連続の増収、営業利益は9期連続の増益で、手堅く収益性を高めてきている。けん引役になっているのは、やはり主力のアウトドアビジネスだ。13年の売上高は249億円(9.5%増)だったが、17年には396億円(16.0%増)まで拡大した。5年の間に、前年比で59.0%増加している。「ザ・ノース・フェイス」や「ヘリーハンセン」などのブランドが好調を持続している背景がある。

直営店に加え、自主管理売り場の拡大も大きく貢献している。いち早く、ライフスタイル=タウンユースの需要を取り込んだ面が後押しになっている。直営店が主体になるが、店舗の管理・運営まで踏み込んだSPA的な手法は、スポーツ業界では随一と言ってもいいだろう。店頭の在庫管理と売れ筋商材の動向を見極めるノウハウが強みになっている。

ゴールドウイン、2013年3月期 部門別売上高(表3)

ゴールドウイン、2013年3月期
部門別売上高(表3)

一方、アスレチックビジネスは「チャンピオン」がなくなった影響もあり、17年は落ち込んだ。アウトドアに次ぐ第2の収益の柱にしていくことが、中期的な取り組み課題だろう(表3・表4を参照)。

2021年3月期に売上高800億円、営業利益65億円を目指す

財務面も安定している。売上高総利益率(粗利率)は13年が41.3%(0.4ポイント増)だった。17年は46.6%(2.4ポイント増)とさらに改善が見られた。直営店などの展開増により販管費率も増えているが、それを上回る粗利率を確保している(表1・表2を参照)。

ゴールドウイン、2017年3月期 部門別売上高(表4)

ゴールドウイン、2017年3月期
部門別売上高(表4)


同社は、2021年3月期を最終年度とする5カ年中期計画を策定している。21年3月期に売上高800億円、営業利益65億円、経常利益73億円、ROE11.2%という数値目標を掲げている。2020年に創業70周年を迎える同社にとって、“節目”の中計になる。(続く)