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三陽商会「エコアルフ」ブランド、アウトドアテイストのマルチジャケット

update: 2020/10/20

コーヒー豆の“かす”を 生地の原料に再利用した 「KATMANDU マルチジャケット」

コーヒー豆の“かす”を
生地の原料に再利用した
「KATMANDU マルチジャケット」

アパレル企業の三陽商会が手掛けるファッションブランド「ECOALF」(エコアルフ)が今秋、コーヒー豆の“かす”を生地の原料に再利用したアウトドアテイストのジャケット「KATMANDU マルチジャケット」(カトマンドゥ マルチジャケット)を企画、発売した。ポリエステル主体の素材で、生地由来の撥水性や耐水性を持つ。

アウトドアやスキーウエアを彷彿するデザイン

アウトドアやスキーウエアを彷彿するデザイン


通常はスポーツ関連企業の話題を取り上げるが、企画の発想や製品の体裁が昨今のスポーツマーケットのニーズに近しいため、参考ニュースとして紹介する。三陽商会はかねて、メンズのアウタージャケットに透湿防水素材「ゴアテックス」を採用するなど、機能性素材に対する関心が高いアパレル企業だ。

「ECOALF」は欧州・スペイン発のサステナブルファッションブランドで、2009年にECOALF社が立ち上げた。ブランド自ら海の“ゴミ”を収集してウエアを製作するなど、「地球環境を守るために服をつくる」という発想を基にしている。日本市場では、三陽商会が今春から販売を始めた。現在、東京・渋谷と二子玉川に直営店を構えているほか、自社ECでも取り扱っている。

付属のインナーウエア

付属のインナーウエア


「KATMANDU マルチジャケット」は、コーヒー豆の“かす”を原料にケミカルリサイクルしたポリエステル素材を使用している。1mの生地には約20杯分のコーヒー豆の“かす”が含まれているという。素材メーカーとの協業したリサイクル素材だが、社名は非公表。過去、竹や和紙、ココナッツの実などを原料にした環境配慮型の素材はあったが、コーヒー豆の“かす”をケミカルリサイクル利用したケースは珍しい。

リサイクル素材はジャケットの本体に採用。生地にはリサイクルしたポリエステルなども加えており、100%使用という訳ではない。フッ素由来の撥水剤は使用していない(撥水剤はECOALF社が定める「使用禁止化合物」に該当するため)。生地が本来持っている機能性――撥水性、耐水性を兼ね備える。

着こなしの一例

着こなしの一例


インナーにはリサイクルしたポリエステルを使用。中綿やその他の各部にはポリエステルを100%使用した。着脱式のインナーウエアを備えており、3通りの着こなしが可能だ。デザインはアウトドアテイストで、スキーウエアの要素も含まれている。

上代価格は3万9,600円(税込み)。メンズ、ウィメンズの各モデルを企画した。前述の直営店のほか、自社ECサイトでも販売する。11月には大阪や名古屋の百貨店でホップアップストアを展開する計画だ。流通する着数はスポーツウエアと比べれば少ないが、ファッションとスポーツのマーケットをつなぐ新しいカテゴリーを拡張させる“きっかけ”になるかも知れない。