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2018年のスポーツ市場を俯瞰する
拡大するライフスタイル提案

update: 2018/01/04

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注目度高まるDTC、スポーツメーカーもSPA志向が必須要素に

もう1つ、強まっていく傾向として考えられるのが、ブランディング戦略の強化、SPA志向である。この2つは強い関連性があることで、つまりはファッションブランドと同様のマーケティングを展開することだ。特に国内市場では長らく“3層構造”と呼ばれる流通形態──メーカー、卸、小売店──が主流だった。しかし年々、間のスポーツ卸を飛び越えて、メーカーと小売店が直接取引する“中抜き”と呼ばれるケースが増えていき、国内のスポーツ卸企業は再編の時代に入りつつある。

昨年末に発表された、ゼットがシウラスポーツのスポーツ卸業務を請け負うニュースが象徴的だ。こうした“中抜き”現象にさらに拍車をかけているのが、メーカーの直営志向である。Eコマースや直営店が代表例だが、これはナイキの中期計画にも記されているが、「DTC」(Direct To Consumer)と呼ばれている。スポーツブランドが直接エンドユーザーへ提案し、自社品を販売するという取り組みだ。

アパレル企業で急速に拡大したSPA業態は、このDTC政策に適している。SPAは商品の企画から販売まですべてを自社で管理するため、顧客とも直接、触れ合うことができる。スマートフォンのアプリケーションを開発する事例も増えており、多くは販売支援や顧客の囲い込みなどに活用されている。

ブランドが露出していればいい時代は終わりを告げているようだ。いかに世界観を構築し、それを直接エンドユーザーへ伝え切るか。IT環境が整備された現在、動画を使った発信も当たり前になりつつある。DTCも重要なキーワードの1つだろう。