日本の“アスレジャー”市場の現在(下)
ニーズの開拓が重要な課題
update: 2017/06/08
アスレジャー市場に慎重な国内関連メーカー
確かに、世界的なカジュアルファッションのシーンにおいて、布帛からニットへの移行――例えば、ジーンズから“スキニー”と呼ばれるニット製のジーンズが主力になりつつある――が急速に進んでいて、その余波がスポーツマーケットに及んでいることは厳然たる事実である。
しかし、トレンドと“実需”とは、似て非なるものである。需要がなければ、関連メーカーは商材を供給しようがない。これはスポーツメーカーのみならず、素材メーカーなど、スポーツ関連企業にも共通した傾向である。
合繊メーカーの展示会に行くと、異口同音に、アスレジャー市場の新規ニーズには期待しているが、現状のビジネスから急速に拡大することはないという“見立て”が大半である。スポーツメーカーにおいても、アスレジャー市場への積極的なアプローチが増えているものの、収益性を伴った事業として確立されている事例をほとんど耳にしない。
市場性は全く“ゼロ”だとは言わないが、北米市場とは異なり、日本市場における開拓は、少し時間がかかりそうである。(終)