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『注目パーソン・インタビュー』
ゴールドウイン、大江伸治副社長

update: 2011/07/04

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過去3年で有利子負債が半減

アウトドアラインが好調、黒字化が視野に入った「ヘリーハンセン」

アウトドアラインが好調、黒字化が視野に入った「ヘリーハンセン」

アウトドアラインが好調、黒字化が視野に入った「ヘリーハンセン」

新中計における財務指標面の目標は「無借金経営」。有利子負債の削減が1つの焦点だった。

「私が財務指標として重要視しているのが『DER』(デット・エクイティ・レシオ=負債資本比率)。かつて当社は借金まみれで、DERが2を超えていた。自己資本の倍くらい借金があった。それが前期末で0.5くらい。資本が負債の倍になった。0.5が1つの目標だったので、新中計の初年度にその数値近くに達したことは、財務面で大きな改善だと思います。B/S面の懸案事項は一切合財処理してしまったので、極めてクリーンで公平性の高い内容になった。西田明男社長が唱える『きれいな経営』の姿になりました」

3期前、旧中計の初年度に当たる08年3月期には149億円だった有利子負債は11年3月期で79億円に半減(05年3月期は200億円を超えていた)。11年3月期末で有利子負債が約80億円、現預金が約60億円で、無借金経営という目標が現実のものになりつつある。

新中計の最終年度には純資産200億円、自己資本比率50%を目標に掲げる(11年3月期末で純資産152億円、自己資本比率37%)。

「純資産200億円、自己資本比率50%という目標は十分達成可能な数値だと考えています」

在庫圧縮、消化率改善で現場の意識が変わった

現金収入を増やすには効率的な販売が不可欠。それにはおのずと適正な在庫管理が必要になる。前期、最も劇的な変化を遂げたブランドは「Ch」だろう。前期に在庫ロス率が約3分の1に減り、収益が大幅に改善した。

「『Ch』は今期たぶんブレークイーブン(収支均衡)を達成できるでしょう。このブランドでショップインショップ化して驚いたのは、NSCで売り上げを作れるようになったこと。NSCにおいて現在、アウトドアの『ザ・ノース・フェイス』(TNF)などで平場からインショップ化を進めていますが、これが平均月坪(売り上げ)20数万円と大成功。『Ch』も平場とインショップを並行して拡大中で、50店くらいに増えました。平均月坪(売り上げ)は18-19万円です」

「『Ch』のインショップ展開では、平場の商売に波及効果を与えたことにも驚きました。インショップ展開でブランドのプレゼンス(存在感)が高まっていることに加え、平場で無理に売り上げを作ることがなくなった。返品率も劇的に下がりました。NSCとの関係はこれまで利用される形だったが、今は我々がNSCの売り場を活用して互恵関係になっている、がっちり組んで運営する形になってきました。それにしても、この『Ch』でこんな店頭表現(ブランド観を発信すること)ができるとは思いませんでした。インショップの構築は(ショップ展開が進んでいる)アウトドア部隊が担当しましたが、その甲斐あって『ゼビオ』からインショップ展開を依頼されるなど、“使えるショップ”だと思ってもらえたようです」

「Ch」の劇的な改善は、ブランドに携わる社員の意識や社内の雰囲気も変えつつある。悪いところを列挙するという後ろ向きの言い訳ができなくなったためだ。

「在庫削減はトップダウンで指示しました。最初は(在庫を減らしてしまったら)『どうやって売り上げを作るのか?』という意見もありましたが、実行には強制しかない。強制して成功体験を作れば、現場ははたと気づく。成功体験を通じてしか人は学びません。これまでは、やったことが結果に表れなかったが、今は誰も迷う者はいません。結果が出ている現在、現場の士気は上がっています」