Amer Sports,Inc.──2024年度の業績を展望する
2023年度は損失計上、今期の第1四半期は増収減益に

update: 2024/07/26

今年2月に上場したAmer Sports,Inc.（アメアスポーツ社）の2024年度の業績を展望する。初の決算――2023年12月期は2ケタの増収、損失計上となった。今期、2024年度（2024年12月期）の第1四半期は2ケタの増収、減益だった。第2四半期の発表を間近に控えるが、今期業績はどのような見通しなのか、まとめた。

「アークテリクス」「ピークパフォーマンス」の「Technical Apparel」が健闘

Amer Sports,Inc.（アメアスポーツ社）は「アークテリクス」「サロモン」「ウイルソン」「アトミック」「ピークパフォーマンス」といったアウトドアやアスレ系ブランドを擁するスポーツメーカー。現在は中華系スポーツ企業、Anta Sports Products Limited（安踏體育用品有限公司＝アンタ スポーツ プロダクツ社）の傘下に入っている（2019年3月に子会社化）。

初めて開示された決算は、2023年12月期。売上収益は43億6,800万米ドル（約6,115億2,000万円、1米ドル＝140円で換算）、23.1％増で、2ケタの増収となった。売上総利益率（粗利率）は52.1％（2.4ポイント増）で、販管費率は45.4％（2.5ポイント増）だった。営業利益は3億200万米ドル（約422億8,000万円、同）、504.0％増と増益を達成したが、金融費用が影響し、経常損失1億400万米ドル（約145億6,000万円、同）を計上するに至った。同様に、当期純損失は2億800万米ドル（約291億2,000万円、同）となった。

地域別では、全地域で2ケタの増収を達成した。「Americas」（米州）が主力市場で売上収益は17億2,700万米ドル（約2,417億8,000万円、同）、15.0％増。「EMEA」（欧州・中東。アフリカ）は14億5,000万米ドル（約2,030億円、同）、14.0％増。セグメント別では、「Technical Apparel」が15億9,300万米ドル（約2,230億2,000万円、同）、45.0％と好調に推移した。

通期では営業利益率が約10％になる見通し

今期（2024年12月期）の第1四半期は、売上収益11億8,200万米ドル（約1,784億8,200万円、1米ドル＝151円で換算）、12.6％増。粗利率は54.0％（1.2ポイント増）、販管費率が45.2％（5.0ポイント増）と増加した。営業利益は1億900万米ドル（約164億5,900万円、同）、16.2％減だった。前期は債務超過状態だったが、資本増強され、第1四半期では自己資本比率が49.2％と正常化している。

前期に引き続き、第1四半期でも「Technical Apparel」が44％増とけん引役になっている。「Outdoor Performance」は6％増と堅調な推移だった。「Ball & Racquet Sports」が14％減と苦戦した。

第2四半期の見通しでは、営業利益率はほぼ0％。通期（2024年12月期）では10.5－11.0％になるとの予測だ。売上収益は10％半ばの増収、粗利率は約54.0％になる見通しである。