ゴールドウイン、新しい中期経営計画を策定──5年後の2028年度に連結売上高1,885億円を目指す
update: 2024/07/04
ゴールドウインが7月3日、今年度(2025年3月期)を初年度とする新しい5カ年の中期経営計画を公表した。5年後の2029年3月期に連結売上高1,885億円、営業利益360億円、経常利益460億円を目指す。主力ブランドの「ザ・ノース・フェイス」および社名ブランド「ゴールドウイン」の国外市場への拡販にも力を入れる。
「ザ・ノース・フェイス」は1,280億円を目指す
前期(2024年3月期)は過去最高の収益を達成した(バックナンバー;「ゴールドウイン、2024年3月期 連結決算──2連続で過去最高収益を達成」を参照: https://www.apparel-mag.com/sbm/article/financial/2569 )同社。棚卸資産(在庫)の厳格な管理による適正化と売上総利益(粗利)の改善、販売管理費のコントロールが功を奏した。
新しい中期経営計画では、今までの基本方針を引き継ぐと共に、新しい分野への投資、開拓により業容拡大を目指す。大きな柱は主力ブランドの「ザ・ノース・フェイス」(TNF)および社名ブランド「ゴールドウイン」(GW)で、成長の余地がある分野を重点的に強化する。
事業区分別では、伸び代の大きい「ライフスタイル」をさらに成長させる。前期の売上高741億円を2028年度には1,112億円まで拡大させる計画だ。TNFのウイメンズやキッズ、GWのライフスタイル商材など今後、伸ばしていく商材が底上げの一助になる。「パフォーマンス」は同418億円を584億円に、「ファッション他」は同109億円を188億円に拡大させる。
TNFブランドではギア、ウイメンズ、キッズ、パフォーマンスが重点強化する分野だ。米国のブランドホルダー、VFコーポレーションとトレイルランニングのシューズを開発し、新しい分野の足場固めを考えている。既存店舗では、都市圏において課題だった直営店と卸先の店舗との差別化を進める。
「ゴールドウイン」ブランド、10年後にアジアで100店舗、日本で100億円の計画
GWブランドでは、China(中国)を中心としたアジア市場の展開に本腰を入れる。韓国では、TNFで付き合いの長いヤングワングループとジョイントベンチャーを設立。韓国国内での販売を本格化させる。また国内でもインバウンド需要も見据えて業容の拡大を計画。10年後に100億円規模にまで成長させる構えだ。
財務面の政策では、資本効率において「ROE」(自己資本当期純利益率)を20.0%以上(前年度は27.0の実績)という目標を掲げた。安定した配当を継続すると共に、D/Eレシオは、適正値と言われる0.3倍以下を持続する方針だ。
売上規模の急速な拡大はせずに、中身の伴った収益性の高い持続的な成長(年率5%増)を考えている。出店ペースを加速することもない。投資家から見れば物足りない内容かも知れないが、過去こうして地に足の着いた取り組みを続けてきたからこそ、現在の高収益体質が整っている面がある。