TOP > 企業レポート > ミズノ、イノベーション拠点「MIZUNO EN...

ミズノ、イノベーション拠点「MIZUNO ENGINE」──研究、開発活動が軌道に乗る

update: 2023/02/28

ミズノのイノベーション拠点 「MIZUNO ENGINE」

ミズノのイノベーション拠点
「MIZUNO ENGINE」

ミズノが大阪本社に開設したイノベーション拠点「MIZUNO ENGINE」(ミズノエンジン)における研究、開発活動が軌道に乗り始めた。契約するトップアスリートの用品開発のほか、市販する各種目の製品の質向上につながるデータ収集や解析などを行っている。

部署の壁を越えた社員交流の場としても活用

「MIZUNO ENGINE」。 1階の試走トラック

「MIZUNO ENGINE」。
1階の試走トラック

「MIZUNO ENGINE」は自社製品の開発拠点として昨年(2022年)11月から稼働した施設で、試走トラックや動作解析のできる体育館など、人間の身体動きが測定できる機器やスペースを揃えているほか、素材の物性分析などトータルな研究開発の部署が集積している。創立115周年(2021年度)の節目の年を意識した新たな投資で、2019年に計画がスタートした。

同業他社の場合、大掛かりな研究・開発施設は本社機能と離れた場所にある事が多いが、「MIZUNO ENGINE」は同社の大阪本社ビルに隣接する場所に位置する。マーケティングや営業部隊などと交流がしやすいほか、ステークホルダーへの提案の場としても活用することができる。

「MIZUNO ENGINE」。 体育館はバドミントンの公式試合ができる仕様

「MIZUNO ENGINE」。
体育館はバドミントンの公式試合ができる仕様

施設は地上2階建ての構造で、延べ床面積は約6,500㎡。総事業費は約50億円。1階は試走コースや動作を解析するスペース、素材などを検証する区画などで構成する。施設とつながっている人工芝を敷き詰めた屋外の“庭”の部分には、試走コースの一部やテニスコートなど、アスリートが実際にプレーして用品を試せる場所が設けてある。

試走コースの全長は90m。14台のモーションキャプチャーカメラを配置し、ランナーの動きを立体的に計測することができる。コースの床下にもセンサーがあり、ランナーの体重の変化を記録する機能がある。そのほか、“傾斜”を調整できるトレッドミルも導入。また体育館は、バドミントンの公式試合ができる仕様。人体に計測用のセンサーを付けなくてもいい“センサーレス”の状態で、複数のプレーヤーの動きを同時に計測できる機能を完備した。すでに契約アスリートと共に、パリ五輪で使用予定の用品の開発が始まっている。また、市販する製品の品質向上を目的としたデータの収集も進んでいるという。

「MIZUNO ENGINE」。 自社製の人工芝が敷き詰められた屋外スペース

「MIZUNO ENGINE」。
自社製の人工芝が敷き詰められた屋外スペース

2階はオフィス、ミーティングのできるスペースを完備。会社組織を横軸で結び、部署の壁を越えたミーティングや企画、開発ができる場を設けている。部署の壁を越えた社員同士の交流の場としても活用する狙いがある。